第3章 民事請求権
T.公務中でない時に発生した損害の場合
1.損害賠償請求はどのようにする?
- 被害者が国家賠償請求
- 国家賠償事務所で賠償額を査定、米賠償事務所に通報
- 米賠償事務所で韓国政府の賠償額を参照して賠償額を再算定する。
- 米賠償事務所から被害者に通報
- 被害者は通報を受けた後、賠償額に満足すれば米賠償事務所から賠償金の支給を受け 取る。(被害者が米賠償事務所の賠償額が不当だと考えれば、異議を提起することが できる。)
原則的には犯罪を犯した米軍個人に損害賠償を請求すべきだが、行政協定に具体的な方法と手続きが規定されておらず実際には不可能だ。
2.「民事訴訟」、現実的には不可能だ。
本協定 第23条第9項(ロ)
合衆国軍隊が使用している施設と区域内に、大韓民国の法律に依拠した強制執行に よる私有財産(合衆国軍隊が使用している動産を除外する)がある時には、合衆国当 局は、大韓民国裁判所の要請にしたがって、このような財産が大韓民国政府に引き渡 されるよう、その権限内のすべての援助を提供する。
損害賠償を請求する時、裁判書類を犯罪米軍人や米軍属などにどう伝達するのか、彼らの裁判出席をどのように保障するのかに対して何の規定もなく、実際に裁判が難しく、裁判が開かれたとしても、これもまた関連規定が無く現実的に不可能だ。
したがって、具体的な手続きが用意されるべきで、米軍や雇用員の財産中、ほとんど唯一実効性のある強制執行対象にできる給与に対して、強制執行する手続きを規定した条項を補充して新設しなければならない。
【事例1】
1993年12月、坡州で起きた強盗襲撃事件の被害者韓昌烈氏は、この事件以後に障害診断と判定され、経済的、肉体的、精神的苦痛に苦しめられている。
韓昌烈氏は94年1月に国家賠償を請求した。国家賠償事務所は、1年以上過ぎた95年3月に韓国国家賠償審議会で121,339,993ウォンの賠償金を判定して米国当局に通報した。しかし、米軍当局は、韓国国立医療院の障害診断結果(労働力喪失率76%)を信じることができないとし、被害者に米軍病院で再診を受けることを要求するなど、傲慢な姿勢を繰り返した。
結局、さる95年10月、駐韓米軍賠償事務所は韓国国家賠償審議会判定額の1/3にしかならない4,700余万ウォンの賠償を決定、被害者に通報した。その理由は、被害者の労働力喪失率を26%だけ認定したためだ。
【事例2】
94年3月12日午前11時頃、ソンタンで「パパ鞄」を運営する朴ヤンシク氏(46歳)は、龍山第17陸軍航空団に勤務するジョンス中尉に暴行を受けて全治2週間の傷害を負い、その被害に対する賠償のため、94年4月に水原地方検察庁の国家賠償審議会に32,921,600ウォンの国家賠償を請求した。
ところが、賠償を請求して1年後の、さる3月になって米軍当局から賠償金を受領せよという通報を受けたが、その金額が治療費にも全然満たない92,190ウォンだった。しかし、朴ヤンシク氏が国家賠償事務所に問い合わせた結果、2,237,300ウォンの賠償を決定して米軍当局に渡したという答弁を受けた。
それで朴ヤンシク氏は米軍賠償事務所を訪問してその経緯をただした。ところが、面談者として出てきた米軍賠償事務所の法務官は、朴ヤンシク氏が米軍に暴行を受けたという主張は根拠が無く、朴氏が負った傷害は自らによるもので、朴ヤンシク氏に70%の過失があると判断して92,190ウォンに決定したと語った。
朴ヤンシク氏は、事件当時目撃者もおり韓国警察の調書があるのに、どういうことかと抗議したが、米軍の法務官は、「韓国警察の調査や当人の言葉は信用できない。しつこく喧しくするな。あなたがかわいそうで賠償をしてやるのに、受け取るのが嫌ならやめろ」というなど、高圧的な発言でこれ以上の対話を拒否した。
これに朴ヤンシク氏は、あまりにも口惜しくて米軍当局が提示した賠償金受領を拒否し、暴行米軍人を相手に正式民事訴訟を請求しようとしたが、行政協定を調べてみた結果、現実的に不可能なので放棄した。
米軍犯罪申告センター
韓米行政協定を改正しろ!
U.公務中に発生した損害の場合
1.損害賠償請求はどのようにする?
- 被害立証書類を作成して国家賠償事務所に提出
- 国家賠償事務所は賠償額を査定して被害者に通報
- 被害者は賠償額に満足する場合、国家賠償事務所で賠償額を受け取る(期間が長い。一月に一回ずつ審査が行われるので)
- 賠償額が不満足な場合、裁判所に民事訴訟を請求する。
- 韓国政府は米軍当局に事実を通報、賠償請求権を行使する。
編集者 注)賠償請求権行使とは? 韓国政府が被害者にまず国庫で賠償額を支払った後に米国政府に賠償額を請求して支給を受けることをいう。
2.100%米軍側の過失でも韓国政府が賠償しなければならない。
本協定 第23条第5項(ホ)
(1)合衆国だけに責任がある場合には…大韓民国がその25%を、合衆国が75%を負担する比率でこれを負担する。
何の責任も無い韓国政府が、国民の税金である国庫から25%の賠償額を支払うのは不当だ。
本協定 第23条第5項(ホ)
大韓民国と合衆国が損害に対して責任がある場合には、裁決され合意されるか、ま たは裁判によって決定した金額は両当事国が均等にこれを分担する。
韓国側が1%の責任があったとしても、無条件に50%賠償の責任を負うこの条項もまた不平等だ。
【事例】 三母娘、暴行事件
1994年10月25日、ソウル、韓南洞の韓南ビレッジ(外人住宅)で、米軍人と国際結婚した娘である薜銀河氏(40歳)の家を訪ねた金グンスン氏(68歳)と二人の娘、薜銀洙、薜銀河氏が「米軍物品販売商」という濡れ衣を着せられて米軍憲兵に連行され暴行を受けた事件。
公務中の犯罪であるため、95年5月に国家賠償を請求して1,800万ウォンの賠償額の通報を受けた。この場合、米国側の責任が明らかであるが、韓国政府が賠償請求権を行使する時、上の条項によって25%の賠償額(450万円)を国庫から支出しなければならない。
3.治療費の先行支給が必要だ
公務中に加えた損害は、このように韓国政府が賠償責任を負うため賠償が確実な反面、実際賠償がなされるのに相当な時間がかかる。その間、被害者は自分の金で治療費などを負担しなければならないが、たとえ、後になってから金を受け取ることになるとしても、当座に多くの金を準備しなければならない困難を経験する。
したがって、治療費などの緊急費用を先行支給するという規定を設けねばならず、特に、大部分、公務中の事故として頻発している米軍車両の交通事故事件は、米軍車両と米軍や雇用員が個人的に所有しているすべての車両に対して保険に加入するよう規定し、(米−スペイン協定、米−オーストラリア協定参照、西ドイツ補充協定)保険会社から自動的に治療費を先行支給できるようにする条項を新設しなければならない。
【事例1】
米軍にタクシー強盗された韓昌烈氏の場合、治療費として10,000ドルを、米軍に強姦と暴行を受けた金菊恵氏事件の場合は、治療費として25,000ドルを米軍当局が前もって支給したが、米軍車両によって交通事故を受け全治16週の重傷を負った崔某氏事件の場合には、公務執行中の事故なので米軍と韓国が賠償額を分担しなければならず、したがって賠償額が決定される時まで、任意で治療費を支給できないと拒絶した。
【事例2】
『米軍当局と韓国政府は、米軍車両に轢かれて脳損傷を負い入院中であるチョン・ヒョンギ氏(67歳、農業)に対する治療費全額と慰謝料を即刻補償せよ。』 駐韓米軍のジープに轢かれる事故にあった農民が、米軍側の被害補償遅延で治療費の工面に苦労しているというニュースに、東豆川地域市民団体と商街繁栄会などの住民達が、米軍側に速やかに救済策準備を求めてして立ち上がった。(中略)
チョン氏はさる8月26日、京畿道東豆川市センヨン2洞の家付近でオートバイに乗っていたところ、米軍第2師団所属102情報大隊ウィリアム上等兵が運転するジープに轢かれ、脳損傷という重傷を負って議政府中央病院に3ヶ月入院している。
警察と米軍当局は、この事故を合同調査した後、安全運転不履行による双方過失だと一方的に処理してしまい、米軍側は韓米行政協定上、公務中に発生した交通事故被害補償費は補償判決前には支給できないとして補償費支給を拒絶している。このため豊かでない生計に、今後にかかる病院費準備に不安が大きいチョン氏の家族としては、この間にかかった病院費1,500万ウォンを用意するにも困難を経験しているのが実状だ。(ハンギョレ新聞94,11,6)