出版に当たって

韓米行政協定は、全面改正されなければならない

 現行の韓米駐屯軍地位協定(韓米行政協定、以下協定)の問題点は、NATO協定や米日協定に比べて甚だしく不平等な要素を持っていることだ。それだけではなく、協定上われわれに付与された権利すらあまりにも抽象的で曖昧模糊とした運営過程から、韓国人に非常に不利に適用されると言うことも大きな問題点である。とりわけ法的に基本的な専門知識がなく、外国語に不慣れな普通の人間にはなおさらそうである。まさにこのような曖昧模糊とした難解な協定規定も、今後われわれが改正しなければならない事項だ。

 本運動本部は、この曖昧模糊とした抽象的で難解な協定を我が国の誰でもが、わかりやすく、理解しやすいようにするために多くの努力を傾けた。本運動本部は、協定改正運動と共に協定の運営から発生する実際の事例と、協定の法理的に不平等な問題をすべて直接体験し、親しみやすい資料集の必要性を痛切に感じた。

 このような努力の一環として本運動本部の事務局は、実際事例とマンガ、カット、図表、統計などを適切に配して、堅苦しい条文中心の説明ではなく、重要なポイントを中心に「わかりやすい韓米行政協定」資料集を出版するはこびとなった。

 この本は、 1.協定の概括的説明  2.刑事管轄権  3.民事請求権  4.米軍基地施設ならびに区域  5.労務  6.通管・関税など特恵  7.参考資料  などで構成されている。

 協定改正運動は、国際的には自主的主権国家をつくることであり、国内的には米軍の各種被害から我が国民の生命と財産を保護する国民的人権運動の一環である。

 韓国が外向的に独自性と自主性を整え、堂々と国際社会に臨むとき、北韓も米国よりは韓国との交流と接触を選ぶだろう。国際的次元で世界化は、まず過去の冷戦時代と権威主義政権時代に強大国が我々に強要し結ばせた不平等な条約をただすところから始めなければならないだろう。

 最後にこの資料集が、米軍たちから被害を被った方々のみならず、民族自主を望む多くの国民たちに読まれ、また一線捜査機関で協定の運営を直接担当した関連公務員にも一つの指針となることを望みます。

イ・ジャンヒ

(駐韓米軍犯罪根絶のための運動本部共同代表。韓国外大教授/国際法)


日本語版の発刊にあたって

 1996年8月、「米軍基地の整理縮小」の是非を問う沖縄県民投票の直前、私は沖縄を訪れ、沖縄における米軍基地の実態と問題点を学んでいました。その時に出会ったのがこの本(原題:「韓米行政協定 お前、今日主人に出会った」 ――わかりやすい韓米行政協定――)でした。

 日米安保条約と日米駐屯軍地位協定によって、沖縄はまさに米国の植民地のように土地を奪われ、基本的な権利を剥奪された県民に、米軍・軍属による凶悪犯罪が襲いかかってきました。その実態は、いまだ記憶に新しい95年の米兵による少女レイプ事件が、「類似した犯行の一事件」と言えるほど、凶悪犯罪の枚挙にいとまがありません。

 一方、この本で紹介されている韓米安保条約と韓米駐屯軍地位協定、韓国での米軍基地の実態と米軍・軍属による凶悪犯罪の姿は、まるで沖縄での実態を複写しているかのようです。

 「反共」を国是にし、「親米」文化が蔓延する韓国では、米軍基地問題は長い間、一般国民にとって距離を置いてしまうものでした。しかし、1章に記されているような韓国と米国との主客が転倒した関係や、2章以降の内容である想像を絶するような米軍犯罪被害の連続によって、韓国民はついに反米軍基地運動に立ち上がりました。この本を世に送った「駐韓米軍犯罪根絶のための運動本部」は、その運動を大衆的に広げていこうという趣旨で、何よりも、理解しやすく具体的な事例を多く取り上げ、難解な条約文の意味を説明しようとしています。故にこの本は、日本語の読者にも易しく問題点を印象づけると思います。また、4章に多く記述されている様に、韓国の反米軍基地運動は沖縄の実態に強い関心を抱き、沖縄の反基地運動に学び連帯しようとしています。

 この本を読むにあたり、韓国と日本(特に沖縄)の状況を比較しながら読み進まれる方が多いと思います。しかし、決して「どちらがより深刻だ」と感じるのでなく、米国の世界戦略の犠牲者となっている両国民衆と、加担者として位置する両国政府の構図をはっきりと認識していただきたいと思います。このことを出発点として、韓国と日本(沖縄)の反米軍基地運動の連帯が前進することを願ってやみません。

 反戦・平和を願う運動の前進のために、本書が少しでも活用されることを期待します。

1997年3月

在日韓国民主統一連合大阪本部

平和委員会 委員長 都 裕 史


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