民族時報 第944号(01.05.01)


【シリーズB】

  わい曲教科書検定合格 私たちの反論  五十川孝事務次長(フォーラム平和・人権・環境)に聞く

――「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)の「わい曲教科書」が四月上旬、検定を合格したが、それについてどう考えるか。

 「『つくる会』は九六年末ごとから、歴史的事実をわい曲し、偏った見方で、従来の教科書を否定する極めて主観的な教科書を作ろうと動いてきた。また去年、各地方議会などに積極的に働きかけて、自分たちの主張を宣伝してきた集団だ。こういう集団が厳然として存在し、公然と動いていることに対して憤りを感じるとともに、検定を合格させた日本政府・文部科学省に対しても許すことができない」

 ――南北朝鮮などアジア諸国から厳しい批判を受けている「つくる会」の教科書で、内容的にどこに問題があると考えるか。

 「戦争と反人権の時代から、平和と人権の時代を築くため、アジアでさまざまな形で努力が行われており、朝鮮半島でも昨年六月に、唯一残されていた冷戦構造を終息させ、統一を進める六・一五南北共同宣言が発表されるなど、世界的に平和の流れが作られている。その流れに逆行するような、極めて危険な国家主義的で排外主義的な色合いの強い主張で貫かれていると言える」

 「具体的に言えば、日本が最も優れているとするアジアでの優越主義と排外主義、人種差別、女性べっ視、子どもの人権無視など、問題点を挙げればきりがないほどだ。非常に危険な教科書と言わざるをえない。アジア諸国の人々が抗議するのは当然で、むしろ日本人の抗議の声が少ない気がする」

 ――七月末にも、この教科書が各教育委員会で採択される可能性が出てきたが、教育現場で実際に使わせないために、どのような取り組みが必要か。

 「可能かどうかは別にして、この教科書に反対するアジアの人びとがともに取り組みを起こすべきだろう。その意味で、アジアの国々からもっと抗議の声を集中してもらいたい。われわれとしては、各市町村の教育委員会に採択しないよう意見を集中させたい。具体的には、各都道府県単位に教科書センターが数か所ずつあり、六月から七月までの十日間ぐらい、そこで七社の教科書を閲覧することができ、そこで意見を積極的に表明していきたい。また、三月に教科書問題を考える実行委員会という組織を立ち上げ、現在、ホームページを開設して情報提供をリアルタイムに行っている」

 ――次の世代の子どもたちへの歴史教育の正しいあり方とは。

 「まず、この教科書を使って歴史教育を行うこと自体、間違ったことで、あってはならないだろう。排外主義的、大国主義的な発想を排し、平和と人権の視点で国際交流を図っていくべきだ。とにかく、この教科書を現場で使わせないことが重要だ」


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