民族時報 第1142号(08.08.15)


【紹介】9・11に衝撃受け/「発信したい」思いで

    写真集出した在日3世 金純希さん

 「発信したい」という切実な思い……。

 大学を卒業後の二〇〇六年九月、金純希さんは一人で旅立った。

 「どうしても、ニューヨークへ行きたかった。(中略)/そして『9・11』の起きた現場をどうしてもこの目で見たかった」

 そして彼女は、この旅で撮った約三百枚の写真から、小さな写真集『22歳 2本の足とNY』を自費出版した。

 金さんの両親は、在日韓国青年同盟(韓青)で出会い、結ばれた。その両親のもと、彼女はずっと本名で生きてきた。アボジとオモニは韓青を卒業後も韓統連などで活動を続けている。ふたりはその背中を見せるだけでなく、正面からも「あなたは韓国人なのだ」と、「民族教育」したという。それが金さんの感性をゆたかにした。

 「在日でなければ、国籍、戦争、社会のことなど、何も考えずにきてしまったかも知れない」

 九・一一テロが起きたのは高校生のとき。友だちも衝撃を受けたようだが、「なぜ」「どうすれば」にはつながらないようだった。続いて戦争が起こった。戦争がすごく身近な問題として迫ってきた。大学生で学びながら、少しずつ「自分の存在を確立」できるようになってきた。旅立ちの場所は、あの日から、きっときまっていたのだろう。

 金さんはいま、「渋谷のオシャレGirlsのため」がキャッチフレーズのフリーマガジンで編集の仕事をしている。

 渋谷に遊ぶ人びとも、戦争・貧困・紛争・テロに苦しむ人びとも、この惑星の住民だけど、との問いに、「つながっていることを忘れない。そこから発信したい」と。

 そして、アニメやマンガなど、「子どもたち、中学生や高校生らにすんなり入り、世界や社会のことを考えられる形で」と抱負を語る。いまは次の発信のために技術を身につけている準備期間だとも。「いずれ自分の雑誌をつくりたい」という。

 最後に金さんは、「発信したいことはもうひとつ、在日の子に向けて、勇気をあげたいなということだった」とつけ加えた。

 写真集は、文芸社ビジュアルアートから、税込み840円。(英)


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