【解説】麻生幹事長へ警戒感強まる/再度右傾化が強まると予想
日本の内閣改造を韓国はどう見るか
福田首相は一日の自民党三役人事に続いて、二日には十七人の閣僚のうち十三人を入れ替える大幅な内閣改造を行った。李明博大統領と同じように支持率の低迷に悩む福田首相は、来年九月に迫った衆議院議員の任期切れをにらみ、「総選挙の顔」として「国民的な人気が高い」とされる麻生太郎氏を自民党の幹事長に起用した。一方、六者協議の合意履行と、朝米関係の変化によって、朝鮮半島を中心とする東アジア情勢が平和へと大きく動きだしているにもかかわらず、朝日関係の進展にブレーキをかけ続けてきた町村官房長官、高村外相だけでなく、拉致担当の中山恭子氏を留任させたことに、驚きの声があがっている。
韓国のメディアは日本の内閣改造について、いっせいに詳しく報道した。とくに、自民党幹事長に復帰した麻生氏に対しては、「右翼政治家の代表」(韓国政府関係者)と説明。もっとも保守的な朝鮮日報は「安倍晋三前首相に劣らぬ極右的政治性向と分類される」と指摘した。
韓国のメディアの関心は、麻生氏に集中している。それは、福田内閣の寿命がそれほど長くはないと予想しているとともに、次期首相の第一候補へ復帰した麻生氏の右翼的な政治性向を強く警戒しているからだ。
東亜日報は二日付の東京特派員の記事で、「最近、連立与党の公明党は『人気のない福田首相では総選挙を闘えない』とやんわりと(福田首相に)早期退陣を迫った」とし、「麻生氏は幹事長職を受諾することで、党の運営権を掌握し、福田総理が所属する最大派閥の町村派の支援が確保できれば、次期首相に一歩近づく」と指摘した。
同記事は続けて、「麻生前外相は『創氏改名は朝鮮人が望んだので行ったこと』だとの妄言をしたことがあり、彼の父が日本の朝鮮植民地支配の時代に、約一万人の朝鮮人徴用者を強制労働させた麻生炭鉱を経営するなど、韓国との『悪縁』がある」と締めくくった。
ハンギョレ新聞も同日付の特派員記事で、「日本の強硬右派政治家の麻生太郎前自民党幹事長が、十か月ぶりに華麗な復帰を果した」と麻生氏に焦点をあて、「妄言をくり返す麻生氏の再登板は韓日、韓中関係にも波乱を呼ぶ可能性がある」と指摘した。
同記事はあわせて、先の「創氏改名」発言など、麻生氏の問題発言を詳しく紹介した。「日本はハングルの普及に貢献した」(〇三年、東京大学学園祭での講演)、「日本が植民地統治した台湾の義務教育に力を注いだ結果、台湾も非常に教育水準が高まった」(〇六年二月四日、福岡での講演)、「(米下院に提出された「慰安婦」関連決議案のうち「日本軍の強制性奴隷」との記述に対して)客観的な事実にまったく基づいていない。非常に遺憾だ」(〇七年二月十九日、外相として衆議院での答弁)。これは麻生氏の再登場に対する危機感の現われだといえるだろう。
福田内閣の支持率上昇をねらっての麻生氏の起用だったが、それは思うようにいかなかった。この点について中央日報は六日付の記事で「内閣改造以後も福田内閣に対する支持率は二四%(朝日新聞)と、足踏み状態だった。結局、福田首相は早ければ年末、衆院を解散して総選挙を実施し、再信任を問うほかないという分析が支配的だ」と明らかにした。しかし、同記事が最も注目したのは、日本の世論が「次期首相にふさわしい人」の第一位に「靖国神社参拝が当然だという持論の超強硬保守右派政治家」の麻生氏を選んだ事実だ。
同記事は、日本経済新聞が二、三日に実施した世論調査で、「これからの首相にふさわしい人」という質問に麻生氏が二〇%で一位、続いて小泉元首相が一三%だったことを紹介、「麻生氏が首相になれば、福田首相によってやや弱まった日本政界の保守右傾化の風が強く吹く可能性が高い。彼は小泉元首相の靖国神社参拝問題で、韓国や中国などから批判の声が高まったとき『天皇夫妻が靖国神社に直接参拝しなければならない』と主張し、波紋を投げかけた」と指摘した。そして、これは「麻生氏の家系と政治的歩みを見れば、容易に理解できる」とし、麻生炭鉱と朝鮮人強制連行、強制労働の問題とともに、「吉田茂元首相の外孫である麻生氏は、幼いころから日本優越主義教育を受け、日本の皇族たちが通う学習院大学を卒業している」と、「麻生首相」に懸念を表明した。
麻生氏は、自民党幹事長に就任早々の四日、民主党出身の江田五月参議院議長に就任あいさつをした席で、ナチス・ドイツに例えて民主党をけん制した。麻生氏は「かつてドイツはナチスに一回やらせようとなって、ああいうことになった」と述べた。
民主党の鳩山幹事長は「民主党をナチスと同じ扱いにするのは許し難い暴言だ。看過できない。党として謝罪を求める」と反発した。
韓国内のメディア、韓国民の憂慮を裏付ける今回の舌禍騒動だ。それでも麻生氏には「国民的な人気」があり、「次期首相にふさわしい」とする日本の空気。これこそが問題の根源だということなのだろう。
(田泰淳記者)