【論説】金持ち優遇政策に怒り爆発/民意にそわねば末路は同じ
李大統領、100日で国民の審判台へ
牛海綿状脳症(BSE)の危険がある米国産牛肉輸入の全面再交渉を求める国民のキャンドルデモが、五日現在で三十日を超えて長期戦の様相を帯びている。キャンドルデモは徹夜デモ、テントろう城などに発展し、十代の中高生から二十代、三十代、父母の世代へと拡散しながら、老若男女を問わず幅広い年齢層の国民が参加している。乳母車部隊も登場した。全国で大学の同盟休校、労働者、農民、教授、宗教界など、組織的な参加も増えている。五日から始まった七十二時間国民行動には、延べ七十万人が街頭に進出した。
韓米交渉の無効化を主張する憲法訴願審判請求国民訴訟には、十万人の国民が請求人団として参加した。六月抗争二十一周年の六月十日に開かれたキャンドル大行進には、百万人の国民が怒りのキャンドルを掲げ、抗争を思わせた。「牛肉の再交渉」要求は、「独裁打倒」「李明博出て行け」というスローガンへと発展している。今、李明博政権は国民の審判台に上がった。
李明博大統領、「再交渉は不可」
四日に実施された再・補選では、ハンナラ党が惨敗し、政府に対する民心離反の深刻さを見せつけた。三日に予定されていた告示を保留する措置をとったが、効果は上がらなかった。国民の再交渉要求にたいする李明博政権の解決方法は、民間業者の裁量に任せるというものだった。李明博政権は、米国政府に対して、米国輸出業者が月齢三十か月以上の牛肉輸出を自主規制(VER)するよう要請、輸出を中断すると自主的に決議した場合、これを米国の「回答」として見なすと発表した。また、国内輸入業者の自主規制で三十か月以上の牛肉の輸入をしないというものだ。利潤を最大の目的とする民間業者に、韓国民の健康をまかせるというあきれた解決方法だ。
拘束力のない自主規制の問題点は、第一に、米国輸出業者が三十か月以上の牛肉を輸出しても、制裁手段がなく、年齢区分表示も信頼できない。第二に、輸出自主規制は、韓米自由貿易協定(FTA)の合意文に明記された「内国民待遇および市場接近原則」に違反、通商摩擦の憂慮がある。第三に、米国の食肉業界が自主決議の形式で三十か月以上の牛肉輸出の規制を解いても、制裁手段がない。国内の輸入業者の自主決議も、勧告事項であって実効性はない。
米国の肉類輸出協会は、今回の韓米牛肉交渉の妥結以後、二〇〇三年十二月のBSE発生で輸出が止められていたBSE特定危険部位(SRM)が含まれた牛の内臓と骨付き肉を韓国に輸出して利益を極大化する戦略を掲げていた事実が明らかになった。
李明博政権は、米国の食肉業界が自主規制を受け入れ、米国政府が文書を通してこれを保証することで、牛肉事態を解決するつもりだ。しかし、米国の食肉業界は期日を制限して輸出を保留、その後、三十か月以上の牛肉を輸出する考えだ。米国政府は、再交渉は絶対にしないという立場を堅持している。
民間業者の「自主規制」にまかせるのは、政府の責任放棄
三十か月以上の牛肉輸出を自制するよう、米国政府が協調してくれるようにとの韓国側の要請に、バーシュボウ駐韓米国大使は「韓国民が米国産牛肉に対する科学と事実に対して、もっと学んでくれるよう望む」という韓国民を卑下する発言をして波紋を広げている。国民の健康権や生存権よりも、米国の畜産業者の利益と立場をより理解し、重視する李明博大統領の事大主義行脚が、ごう慢さを一層助長させたといえるだろう。
第十八代国会は、米国産牛肉再交渉問題と関連、野党が「家畜伝染病予防法」改正を要求して国会への登院を拒否し、国会はいまだに開院できない状態だ。民主労働党と民主党が主張する家畜伝染病予防法改正案は、@BSE発生国家と発生の疑いのある国家からは、月齢二十か月未満の牛の骨のない生肉のみ輸入A動物性飼料禁止B履歴追跡規定に違反した場合は、輸入と流通を即時中断する、という内容だ。
BSEの危険がある牛肉の全面輸入合意は、首脳会談の対価として李明博大統領が米国に与えたものだった。したがって、大統領が直接米国に再交渉を求めなければならない。政権危機に直面した政府は、妥結策として青瓦台秘書官の辞職、韓昇洙首相をはじめ、内閣の総辞職の意思を表明した。しかし、人的刷新だけで深刻な事態を収拾できるか疑問だ。キャンドルデモで国民は、朝鮮半島の大運河、医療、保険、水道など公企業の民営化、英語偏重などの教育政策に批判の矛先を向けている。政策を刷新する根本的解決策を出さない限り、国民のキャンドルは、いつまでも消えないだろう。
「BSEの危険がある米国産牛肉反対国民対策会議」は、再交渉が貫徹されるまで、キャンドルデモを常設化する方針を明らかにした。米軍の装甲車にひき殺されたシン・ヒョスンさんとシム・ミソンさんの六周忌の十三日に再び汎国民的な規模でキャンドルデモが開かれることが予想されており、「駐韓米軍撤収」などのスローガンが登場するか注目される。七月には、ブッシュ米大統領が訪韓し、韓米軍事同盟を一層強化する「韓米未来戦略同盟」に合意する予定だ。BSE牛肉交渉の当事国である米国に対する抗議が、強力な反米闘争へと発展するかも注目される。
六・一五共同宣言発表八周年を迎える十五日に開かれる国民のキャンドルデモは、李明博政権が対北敵視政策から抜け出し、六・一五共同宣言と十・四宣言を誠実に履行することを要求する声が噴出すると見られる。
民心が何を願っているのかわからないのなら、大統領の資格を喪失することになるだろう。