民族時報 第1136号(08.05.15)


【主張】

    食糧問題の主権を守れ

 米国産牛肉の全面輸入開放に対する国民の怒りが燎原の火のように広がっている。盧武鉉前政権は牛海綿状脳症(BSE)の危険を考慮し、米国から生後三十か月を過ぎた牛の脳や脊骨など危険部位を含む肉の輸入を禁止していた。しかし、訪米した李明博大統領は四月十八日、翌日の韓米首脳会談への手土産として、今月末から米国産牛肉の輸入を全面開放することを、国民に何の説明もないまま電撃的に米側と合意した。その内容は、韓国側は@米国産牛肉の輸入に際して生育年月や部位に関するいっさいの制限を設けないA輸入牛肉を検疫する権利を放棄するB今後、米国でBSEが発生しても韓国は牛肉の輸入を禁止できない――などとなっている。李明博政権は、韓米協議で自ら主権を放棄し、国民の食の安全を犠牲にしたことになる。

 この韓米合意が明らかになると、中・高生を先頭に国民らがインターネットで連絡をとりあい、自主的に輸入全面開放に反対する街頭での文化祭、キャンドルデモを展開した。祖国の未来を担う中・高生らは、学校給食で米国産牛肉を日常的に食べるようになる。彼らが輸入開放決定に不安を抱き、反対するのは自然なことだ。数多くの市民社会団体と全野党も猛反発し、李政権に輸入全面開放の経緯を明らかにし、米側と再交渉するよう強く要求している。しかし李政権はそれらを拒否している。

 われわれは米国との経済的取引のために国民の生命と健康を売り渡そうとしている李政権の政策に反対する。李政権の米国に対する卑屈で従属的な態度は嘆かわしい限りだ。李政権は米国産牛肉の全面輸入開放の韓米合意を白紙化し、再交渉を決断しなければならない。BSEに感染すれば廃人になり、死を免れないことは科学的に証明されている。李政権には充分すぎるほどのBSE防止対策を立てる重大な責務がある。

 最近、国際社会では食糧危機が進行し価格が高騰している。世界各地では食糧を求める暴動が起きている。危機が深まるほど、各国は自国の食糧確保に動く。食糧自給率が五〇%を割る韓国は、この事態を深刻にとらえるべきだ。今後、食糧自給問題は重大問題として浮上するだろう。いくばくかの韓国の工業製品を米国が受け入れる見返りに、韓国が米国産農畜産物を全面的に受け入れるというのが韓米自由貿易(FTA)協定交渉の基本内容だ。韓米FTAが批准されれば、韓国の農畜産業は致命的な打撃を受けざるをえない。自国の農畜産業を破滅に追いやる韓米FTAは即刻中断されなければならない。韓国は米国をはじめ外国からの食糧輸入をこれ以上増やすのではなく、自国の農畜産業を保護、育成し、食糧の自給率を徐々に高める必要がある。また国際社会が多極化しているなかで、米国に対する極度な依存、従属政策を克服し、自主性を発揮して、全方位外交に大転換しなければならない。

 人間にとって必要不可欠なものを「衣食住」と表現するが、よく「食衣住」とも表現する。わが民族は生活のなかで食を重視する。国民の食の安全を「実用主義」の名目で軽視するような政権は早晩、国民から拒否されるだろう。李政権が食糧問題で主権を守り、国民の生命と健康を守る意思と能力があるのか、厳しく問われている。

 


[HOME] [MENU] [バックナンバー]