民族時報 第1135号(08.05.01)


【雄弁大会】わたしとウリマルでケンカすること

    厳しいアボジのささやかな夢

 韓青近畿地方協議会が三月三十日に開催した「ウリマル(韓国語)雄弁大会二〇〇八」の初級部門に出場し、優秀な成績を収めた姜充子氏の発表文を全文掲載する。

  姜充子(韓青大阪府本部北大阪支部)

 わたしの家には、あるルールがあります。それは、どれだけ忙しくても、一週間に一度は必ず家族そろって食事をすること。一緒に食事をしながら、いろんな話をし、食後にはまた、たわいもない話で盛りあがり、お茶を飲むのがわが家の決まりです。

 「家族みんなでオモに(母さん)のおいしい手料理を食べる時間が、何より幸せだ」とアボジ(父さん)はいつも言います。わたしもまた、その時間が大好きです。

 なぜアボジが、こんなにも一緒に食事をすることにこだわるのか、その本当の意味がわかったのは、大人になってからでした。

 普段はありえないくらい厳しくて、わたしとのケンカなんて日常茶飯事。でも実は涙もろくてだれより優しい、そんなアボジは在日二世で、長崎県の対馬という小さな島の山奥で生まれ育ちました。祖国から日本に渡り、言葉も通じない、助けてくれる人もだれもいない山の中での生活は本当に貧しく、その日食べていくのがやっとの生活でした。家族一緒に食事を楽しむ余裕など、どこにもありませんでした。

 そのため、いまこうして、家族一緒に食事をしながらゆっくりと話をする、そんな当たり前の時間が、アボジにとっては本当に大切で、かけがえのない時間なのです。

 お金のない生活のなかでも、目に見えない、お金では決して買うことのできない愛を、だれよりたくさん受けて育ったアボジ。兄弟でただひとり高校まで進学することを許され、独学でウリマルを学んだアボジは「祖国と日本をつなぐ仕事がしたい」と、貿易会社をつくりました。「いまの自分があるのは、文句ひとつ言わず、こころよくアボジを高校まで行かせてくれた兄姉や、祖父母のおかげだ」とアボジは言います。

 そんなアボジの、いまの小さな夢は、わたしとウリマルでケンカができるようになることです。その夢をかなえるため、そして何より自分自身のために、わたしも若き日のアボジに負けず、頑張ってウリマルを勉強しようと思います。なぜなら、わたしも韓国人なのだから。そしていつか、その夢がかなう日が来たら、いつもはありえないくらい厳しくて怖いアボジも、きっとうれしくて、笑うだろうな♪


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