民族時報 第1135号(08.05.01)


【論説】米の戦争に否応なく加担へ/過去清算軽視に批判高まる

    大統領の米日歴訪 何を得てきたのか

 李明博大統領が就任後初の海外歴訪を終えた。李大統領は歴訪の最大の成果として、韓米首脳会談で韓米同盟を「二十一世紀の韓米戦略同盟」に発展させることに合意し、七月にブッシュ大統領が訪韓して「韓米同盟未来ビジョン」を具体化することをあげた。また、韓日首脳会談で「成熟したパートナーシップ関係」を構築することにしたことも成果だとしている。国益優先の実利外交は、果たしていかなる成果をあげたのか。

 駐韓米軍の削減白紙化

 四月十九日、キャンプデービッドで開かれた韓米首脳会談で両首脳は、@駐韓米軍削減計画の凍結A米国製兵器購買国(FMS)における韓国の地位格上げB韓米自由貿易協定(FTA)の早期批准C六者協議による朝鮮半島の非核化問題の早期解決Dテロの不拡散など全世界的な問題への共同対処E米側の李大統領提唱の「非核・開放三〇〇〇」支持F韓国に対する米国ビザ免除の年内実施――などだ。また北朝鮮に対する核放棄の圧迫、北朝鮮の人権改善問題にも合意した。

 韓国側の主張で合意したものは、駐韓米軍の削減凍結とビザ免除、「非核・開放三〇〇〇」だけだ。それにビザの免除は首脳会談前の実務協議でほぼ合意していた事案であり、「非核・開放三〇〇〇」は、北朝鮮が「反統一的対決政策」だと一蹴しており、当事者を排除した政策だ。しかも駐韓米軍の削減凍結は戦略的柔軟性の拡大につながり、国防費の分担も加重することになるため、国民が反対している事案だ。そのうえ、駐韓米軍の対北先制攻撃に韓国軍が参戦する危険性もある。またイラク派兵延長、アフガニスタンへの派兵など、米国の対テロ戦争に韓国軍が加担する危険も大きくなった。

 大統領府は韓米首脳会談の後続措置として、@アフガンの警察訓練への参加A国連平和維持軍(PKO)への参加法案づくりを推進すると発表した。憂慮が現実になろうとしている。「二十一世紀の韓米戦略同盟」に合意するなら、米国のミサイル防御体制(MD)への編入と、大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への参加も時間の問題となる。

 FMSの地位格上げは米国製兵器の購入増大につながり、国民の負担だけが加重することになる。また韓米FTAの批准によって、畜産農家をはじめ、庶民の生活は一層困難になる。しかも首脳会談前の手土産として牛海綿状脳症(BSE)の危険がある米国産牛肉の輸入を全面開放した。安保問題だけでなく、国民の健康権を米国に譲り渡したのも同然となった。

 李大統領は対北問題に関連して、米国と「核不拡散、民主主義、人権政策に関して意見を同じくした」と述べたように、韓米共同で北朝鮮人権問題に関与するとの姿勢だ。訪米中に「南北連絡事務所設置」など、唐突な対北提案をしたが、真に南北対話を望むならば六・一五共同と十・四宣言の固守、履行を表明するだけで充分だ。

 今回の韓米首脳会談は、大きく三つの問題点を指摘できる。第一に、軍事安保問題での米国への従属化だ。第二に、順調だった南北の和解と協力、交流関係が、韓米共助によって暗雲がただようことになった。第三に、無分別な市場開放で国民の生存権、健康権が脅かされるようになった、ということだ。

 今回の訪米は「実利なき実用外交」だった。むしろ得たものが多いブッシュ大統領が実用外交をしたことになる。失ったものがあまりにも多い首脳会談だったといえる。

 韓日の過去問わない

 四月二十一日の韓日首脳会談では、五つの合意を発表した。@シャトル外交の復活A貿易赤字構造を解消する経済協力の強化B六者協議共同声明履行ための韓米日の連係強化C対北朝鮮関係と国際社会での協力強化――などだ。

 特に北朝鮮の核問題と関連して、六者協議の枠組みのなかで徹底した韓日共助を確認した。李大統領は「統一より緊急なのが北を開放して国際社会に参加するようにすること」と述べたように、反北韓日共助新時代を約束した。

 経済協力と関連して、韓日FTAと経済連携協定(EPA)締結のための実務協議を六月に開くことにした。韓日FTAは二〇〇四年十一月、日本の農産物市場開に関する双方見解差によって交渉が中断した状態だ。韓日FTAは日本政府と日本の財界が強く望んでいた懸案であり、韓国の国内産業に対する打撃が憂慮されている。

 懸案の過去の歴史問題に対しても李大統領は寛大だった。「過去に縛られて、未来に支障をきたしてはならない」(二十一日の共同記者会見)としながら、「国や政治家は個人の意見を言うことができる。 発言にいちいち敏感に対応する必要はない」として日本の政治家の侵略美化と歴史わい曲、妄言を許す姿勢を見せた。また「日本に対していつも謝罪しろと要求しない」(四月二十日在日同胞主催のレセプション)と念を押した。

 日本が「固有の領土」と途方もない主張をする独島領有権問題と、日本軍「慰安婦」問題もいまだに解決されていない。経済協力の代価として免罪符を渡すという軽い問題でない。

 李大統領の実用外交がもたらしたものは何か。国益のための海外歴訪ではなかった。「あたかも対決的な冷戦時代に回帰する感がある」(統合民主党)との指摘が的を得ている韓米、韓日首脳会談だったといえるだろう。

 (金明姫記者)


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