【詩】
地の底に埋もれた記憶を太陽の光の中に −済州島4・3抗争60周年に際して
金 知 栄
花咲く四月になると
ハルラ山すそ野を旋回する風の音
真冬に吹きすさぶ
酷い風のように痛く
石垣を突き抜ける春風は
ぞっとするほど悲しく聞こえます
平和な島に
悪夢のように吹き荒れる嵐にまかれ
安らかに目をつむることもできずに逝ってしまった
オモニ、アボジ、オッパ、幼い弟妹たち
鮮血が大地を
一面真っ赤に濡らした
その日の記憶は生々しく
今も独り残された私の心の中に
そのまま凍てついています
武装軍人たちの放った火によって
火の海の中で皆殺しされた
プクチョン村の住民たち
干し魚のように縄に繋がれ 討伐隊に銃殺された
チュンサンガン村の良民たち
山に行った夫の代わりに
新妻が惨たらしく陵辱された
西帰浦チョンバン滝
アボジの代わりに息子を殺し
隣のおじさんも
向こう村のお爺さんも
病気のお婆さんも
乳呑み児も
なぜ死ななければならなかったのか
訳も分からないまま逝ってしまった人々
パルチザンの家族だという理由で
同じ村に住んでいたという理由で
ただ済州島民であるという理由で
無差別に集団虐殺され
ゴミのように 土塊のようにうち捨てられた
生き地獄のようなその日の光景は
幼い私の瞳の中で
固まった記憶になりました
日本帝国の軛から解放された喜びに踊り
これからは私たちで
私たちの力で幸せに暮らそうと
力を合わせた
反骨精神の強い島の人々でした
それが
アカの暴動だったのですか
暴走たちの反乱だったのですか
武装した米国軍人たちが
他人の国を虎視眈々狙いにやって来て
操り人形に権力の刀を与え
虐殺蛮行をほしいままにして居座ろうとしているのに
黙って見ていられたでしょうか
4.3は
朝鮮の分断を防ごうとする済州島民の
米軍政と李承晩軍隊に正面から立ち向かった
正義の闘いでした
安住する場所を見つけることできない霊魂たち
黄泉を流浪し
歴史の裏道を彷徨っていた
崇高な闘いの記憶は 苦痛としてのみ残り
凄絶な抵抗の歴史は
歴代政権の力で埋葬され
記憶さえも抹殺された痛恨の歳月でした
未だ土の中深く埋もれた記憶を
これからは
燦々と輝く太陽の光の中に蘇らせ
暗闇の歴史を
誇らしい歴史に
正しく立て直すことでしょう
眠れぬ島 済州島が
心安らかに息をするように
咲き誇る菜の花の房々の
息吹ごとに凝固した血のあざを溶解させ
黄色い香りを漂わせるようにすることでしょう
註 4.3の詩を書くに当たって、「民族時報」1131号 金石範先生のインタービューで、貴重なヒントを得ました。