【論説】「テロ支援国」の指定解除へ/李政権は共同宣言の尊重を
進展する朝米関係、悪化する南北関係
いま北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と米国は、当局者会談と交渉を断続的に行っている。一方、南北関係は当局者間の対話どころか、接触さえ遮断された状態にある。過去数年間、戦争直前にまで悪化した朝米関係の改善がいよいよ最終段階に至り、和解と協力の時代を謳(おう)歌した南北関係が、まかり間違えば戦争につながる一触即発の状況にある。当局者間の対話(交渉)の有無が朝米、南北関係の現在を象徴しているといえる。
朝米関係正常化が最終段階へ
朝米は朝鮮半島非核化のための六者協議の首席代表である北朝鮮の金桂寛・外務次官とヒル国務次官補の会談が、先月十三日のジュネーブ会談に続いて、八日にはシンガポールで継続された。
二つの朝米会談の中間時点である三月二十八日、北朝鮮外務省はスポークスマンの談話を通じて、朝米交渉の内容と自身の立場を明らかにした。それは、@高濃縮ウラン疑惑の問題は、「米側が輸入したウラニウム管の行方を明らかにすれば、この問題を解決できるとしたので、鋭敏な軍事対象まで米国の専門家に見せ、サンプルも提供する特例的な措置を取った」Aシリアへの核拡散疑惑は「米側が該当対象がイスラエルの爆撃で破壊されて、この問題はさらに解明する必要がなくなったので、核拡散しないという朝鮮側の公約を再確認すればよいと要請した」と明らかにした。
そのうえで、米国が現在の立場に固執するなら、「ようやく推進されてきた核施設無能力化にも深刻な影響が及ぶことになる」と警告した。
その談話の直後、京郷新聞(三十一日付)は、ワシントンの消息筋の話として、北朝鮮が最近米国に対し核計画申告に関する新たな提案を行い、米政府と議会がこの案の受け入れをめぐり内部調整を続けていると報じた。提案は今月十五日以降にニューヨークの北朝鮮国連代表部を通じて伝達されたとしている。
シンガポールの朝米会談後の九日、ヒル次官補は北京で記者団に、朝米協議では申告の全体合意には至らなかったとし、北朝鮮が保有するプルトニウムの量に関して詰めの作業が残っていると明らかにした。つまり、問題が高濃縮ウランとシリアへの核協力疑惑ではなく、プルトニウムの量の問題に変わったのである。
一方、北朝鮮外務省スポークスマンは同日、シンガポールの朝米会談について、「合意履行を完結させるうえでカギとなる米国の政治的補償措置と核申告問題で見解の一致を遂げた」と明らかにした。政治的補償措置とは「テロ支援国家」指定の解除を意味しており、朝米間で合意がなされたことを示している。
それでは朝米の合意はいつ公表され、六者協議が再開されるのか。ひとつの契機は李明博大統領の訪米(十五日―十九日)だろう。韓米首脳会談は十八日から二日間、ブッシュ大統領の別荘キャンプ・デービッドで行われる。そこでこの間の朝米協議を土台に韓米両首脳が立場を明らかにする可能性がある。いずれにせよ、朝米関係の正常化は最終段階にはいっている。
緊張高まる南北関係
朝米関係と対照的に、南北関係は緊張が高まっている。それは、六・一五と十・四共同宣言を固守し、実践する姿勢があるか疑問を抱かせる南側の動きに、北側が強く反発していることから生じている。
金夏中・統一部長官は三月十九日、開城工業団地に進出している南側企業との懇談会で「核問題の解決なしには工業団地拡大は難しい」と語った。これに対して北側は二十六日、開城工業団地にある南北交流協力協議事務所に常駐する当局者十一人を撤収させた。
北側は二十九日、南北将官級軍事会談の北側首席代表から南側首席代表にあてた通知文で「軍関係者を含む韓国当局者の軍事境界線通過を遮断する」と通告した。これは、南側の金泰栄・合同参謀本部議長が二十六日、就任前の国会人事聴聞会で「北側が核兵器で韓国を攻撃しようとした時どう対応するか」との質問に「核兵器が韓国側で作動(爆発)しないようにするのが目標」と答弁し、先制攻撃の可能性を示唆したことに対するものだ。北側はこれを「宣戦布告も同然の無分別な挑発行為」と非難し、韓国の「先制攻撃」の動きにはより迅速かつ強力な先制打撃で応じると断言した。そのうえで、これを撤回して謝罪しない限り、上記の措置を継続すると明らかにした。
南側の国防部当局者は三十日、北側に謝罪する意はなく、われわれが謝罪する内容でもないと明らかにした。
北側はさらに、一日付の「労働新聞」の論説で「李明博『政権』が親米・反北対決を露骨にしている」と名指しで非難した。北側メディアが李大統領を直接非難したのは初めてで、韓国大統領の名前を取り上げたのも八年ぶりだ。
南北それぞれの以上のような動きを総合すると、南北間に緊張局面が継続しそうだ。
六・一五共同宣言から八年間、南北関係は和解と協力、統一に向けて確実に発展してきた。われわれは、二度の南北首脳会談で合意した歴史的な共同宣言の固守・実践こそが南北関係の発展と平和繁栄、祖国の自主的平和統一への道であることを、再度肝に銘じなければならないだろう。
(高雄埴記者)