民族時報 第1127号(07.12.15)


【解説】米大統領が金委員長へ親書/NYフィルがピョンヤンで公演へ

    6者協議合意履行どうなっているか

 「朝鮮半島の非核化のための六者協議」の合意履行の動きが活発化している。とくに六者協議の米国首席代表のヒル国務次官補が北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を訪問(三日―五日)、朝米両国は二・一三合意の第二段階措置をどのように終えるのかについて協議し、「双方が満足している」との事実が明らかになった。ヒル次官補はブッシュ大統領の金正日国防委員長への親書を伝達し、朝米両国は関係改善に向けて、大きく前進した。朝米両国の接近は、朝鮮半島情勢にも大きな変化を予告している。

 「雰囲気は肯定的」

 ヒル次官補は、六者協議の十・三合意にしたがって、年内に終えることになっている北朝鮮のすべての核計画申告の内容と時期などを協議するためピョンヤンを訪問。朴宜春外相と金桂寛外務次官、そして最高人民会議の楊亨燮副議長にも会った。ヒル次官補は寧辺の三つの核施設で無能力化作業が、計画のどおり順調に進行していることに満足の意を表明し、年内に計画されている一括妥結案と、その次の段階の措置に関しても具体的に討議したと明らかにした。また、核計画の申告問題と関連して「北朝鮮との会談の雰囲気が非常に肯定的」だったと明らかにしながら、核計画の申告リストに関しては意見の違いがあったと示唆した。

 また米国側は核施設の無能力化も重要だが、過去の核計画も検証する必要があるとした。 すなわち、申告リストには核施設と核物質、核プログラムがすべて含まれなければならないというのだ。具体的には@抽出されたプルトニウム総量A濃縮ウラン計画疑惑B核移転問題など、過去の核活動全般が申告書に含まれるか、「証拠を土台に満足するほどの水準」の解明が必要だという。だが北朝鮮は、核移転やウラン濃縮計画は存在しない、という立場であり、申告について朝米両国がどう調整するかは未知数だ。しかし、ヒル次官補は「北朝鮮の核計画申告リストの草案を二、三週間以内に受けとれると期待している」と明らかにしており、核問題解決は現段階では順調なようだ。

 核施設の無能力化は、核燃料棒の除去に時間がかかるという技術的問題のため、来年に持ち越すものと見られる。

 このため、今月中旬に六者協議首席代表会談を開いて北朝鮮の核計画の申告に関する評価と最終的な核廃棄段階に関する議論をおこなう予定だった六者協議は、来年の一月初め以降に順延されるものと見られる。したがって、六者外相会談と朝鮮半島の平和体制構築に関する交渉開始も先送りの可能性が高い。

 金委員長に親書伝達

 ヒル次官補は、ブッシュ大統領の特使の資格でピョンヤンを訪問し、ブッシュ大統領の親書を伝達した(東亜日報)。親書の内容は具体的に明らかになっていないが、「確固とした対北交渉の意思を明らかにしたもの」(韓国政府)と評価できるだろう。朝米の最高指導者間の直接対話が行われる根拠がつくられたといえる。また、関係正常化の意志が親書に含まれていたとするなら、米国の対北朝鮮政策の転換を文書で約束したことになり、高く評価できる。朝鮮半島情勢に急激な変化を起こす端緒になるとの期待感も大きい。

 六日のAP通信は親書に関して、北朝鮮が合意を履行して朝鮮半島が非核化された後、究極的には関係正常化できること示唆したと、肯定的に報道した。同日、米国ヘリテージ財団の北朝鮮問題専門家であるブルース・クリングナー上級研究員は連合ニュースとのインタビューで、「六者協議の進展を持続しようとするブッシュ政権の憂慮と、しかし、どうあろうと進展させたいとの必死さを示したものだ」と評価した。

 六者協議の合意をめぐって、関係国の動きが活発化している。ロシアは十一月分の対北重油支援五十万トンの提供を約束し、六者協議議長国の中国は近いうちに武大偉・外務次官を北朝鮮に派遣する予定だ。また経済エネルギー作業部会(議長国、韓国)の非公式首席代表会議が十二日に北京で開かれた。会議では申告、無能力化の見返りとして北朝鮮に提供する重油五十万トン相当のエネルギー関連設備・資材の支援問題が協議された。

 朝米協議が順調に進行し、米国が満足する核計画の申告リストが提出される場合、米国は「テロ支援国」の指定解除と、敵対国貿易法の適用を解除し、来年八月までにピョンヤンとワシントンに両国の代表部を設置し国交を結ぶという、急速な関係正常化が現実化される可能性が高いとの観測もある。核問題解決で重要なことは、六者協議共同声明で確認した「行動対行動の原則」が守られなければならないということだ。

 朝米関係でもうひとつの朗報は、来年二月末にニューヨークフィルのピョンヤン公演が確定したことだ。ニューヨークフィルのピョンヤン公演を米国のマスコミは、朝米緊張緩和のなかで実現した「文化的突破口」「もうひとつのピンポン外交」と賛辞を送っている。 朝米の核交渉が進展を見せているなかで、文化交流が核問題解決にも役に立つとの見解だ。

 六者協議当事国の核問題解決に向けた努力に、日本は唯一背を向けている。衆議院の拉致問題特別委員会は五日、米国の北朝鮮に対する「テロ支援国家」指定解除に反対する決議を採択した。日本はいつまで井のなかの蛙(かわず)でいるつもりだろうか。

(金明姫記者)


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