【焦点】顔写真撮影も 「人権侵害」と反対の声も
指紋押捺制度が復活
日本に入国する外国人に指紋採取と顔写真撮影の提供を義務づける「改正」出入国管理・難民認定法の施行が、十一月二十日から空港などで一斉に始まった。入国時の指紋採取は米国についで世界で二か国目。〇一年の同時多発テロが導入のきっかけだが、重大な人権侵害だとして即時廃止を求める声が強い。
この制度は十六歳未満や特別永住者は除外されるが、一般永住者や定住者の在日同胞らを含めてすべての外国人がその対象になる。拒否した場合は入国が許可されず、日本からの退去が命じられる。
同制度は、入国申請時に@原則、両手の人差し指を指紋読み取り機器のうえに置き、指紋情報の提供を受けるA指紋読み取り機器の上部にあるカメラで顔写真の撮影を行うB入国審査官から審査を受ける――の三段階の手続きを義務づけている。
入管当局は、その情報を国際指名手配犯や過去に不法滞在などで強制退去になった外国人らの「ブラックリスト」と照合。該当した場合は入国できない。リストやシステムの信頼性への疑問や恣意(しい)的な認定の恐れが指摘されている。
また情報は出国後も消去されず、警察などの犯罪捜査に活用されることが国会審議でも明らかになっている。
入管協会の「在留外国人統計」によれば、〇六年の韓国・朝鮮人の総数は五十九万八千二百十九人。指紋・写真の対象にならない特別永住者は四十三万八千九百七十四人(七三%)で、それ以外の一般永住者四万七千六百七十九人を含む十五万九千二百四十五人(二七%)は、指紋と顔写真を採取される。歴史的な経緯や人権の観点から、日本に生活基盤がある一般永住者や定住者の在日同胞はもちろん、外国人の渡航者に対して不快と苦痛を強いるだけでなく、管理・支配をますます強めるものにほかならない。
この制度が「テロ対策」として有効かどうかも確認されていない。実際、日本に先立って制度「US―VISIT」を実施している米国では、行政監査院がその制度のぜい弱性を指摘している。つまり「テロ対策」の名目で実施される今回の制度は、その目的に適う手段であるかは明らかでない一方で、実施による人権侵害は明白だ。
現在、中学、高校で海外への修学旅行が盛んだが、修学旅行に出る際、事前に学校が申し出なければならず、帰国時、情報採取の対象の生徒(十六歳以上の特別永住者以外の外国籍者)は別室で指紋と顔写真を採取される、という。別室に呼ばれること自体、不快で屈辱的といわざるをえない。
日本弁護士連合会や移住労働者と連帯する全国ネットワーク、アムネスティ・インターナショナルがこうした観点からも制度に強く反対している。また中止を求める国際署名も展開されている。
かつて在日同胞らの広範な反対運動で指紋押捺制度が撤廃された経緯がある。再び在日同胞らへの治安管理と人権侵害へと道を開く悪法と制度は廃止されなければならない。