民族時報 第1125号(07.11.15)


【講演要旨】朝米関係の進展と強く関連/宣言の実践に在日も努力を

    10・4宣言の意義とわたしたちの課題

 金政夫(韓統連議長)

 わたしたちは現在、「在日同胞社会の和合のための二年計画」という活動を展開している。この活動の契機となったのは、昨年五月、民団と総連の和解を宣言した「五・一七共同声明」が、民団中央本部によって一方的に白紙撤回されてしまったことだ。この白紙撤回は、在日同胞の和解に反対する日本のマスコミ、さらには、当時官房副長官だった安倍晋三前首相を筆頭にした日本政府、公安筋の圧力によるもので、結局、共同声明に合意した当時の民団中央執行部は辞任に追い込まれた。この事態から明らかになったのは、六・一五共同宣言による南北の和解に反対する米国と日本政府が、韓国政府と韓国社会に露骨には干渉できないために、日本政府の北朝鮮に対する敵視政策をテコにして、民団を舞台に六・一五共同宣言つぶしを行ったという構造だった。

 したがって、在日同胞社会の和合のためには南北、海外の同胞がともにする自主的平和統一運動と、日本の人たちとともに誤った日本政府の朝鮮半島政策を是正させる闘いという二つの大きな柱が必要だ。この意味で今日の講演会は、日本の人にも呼びかけて開催した。

 朝鮮半島情勢は、日本のマスコミだけを見ていると、まず間違いなく誤った判断をしてしまう。今回の南北首脳会談について日本のマスコミは、盧武鉉大統領の任期は来年二月まで、いわば死に体の大統領で、年末の大統領選挙では、南北の和解に批判的な野党のハンナラ党が勝つだろう、したがって、北朝鮮はそれを見越して、いまのうちに南から取れるだけのものを取り、さらに年末の大統領選挙に影響を与えようとしたのだ、と報道し解説した。しかし、韓国のマスコミはそれとは正反対に、ほとんど韓国側の要求が受け入れられ、特に経済交流については大変な成果をあげたと報じた。大統領選挙への影響についていえば、世論調査の結果などを見ると、ほとんど影響がなかったようだが、むしろ今回の首脳会談は、大統領選挙の結果によって左右されないレベルにまで、南北の和解・協力関係を強化発展させたと見るべきだろう。

 今回の第二回南北首脳会談と「十・四共同宣言」は、地球上に唯一残った朝鮮半島の冷戦構造が、根本的な解体にむけて大きく動き出したことを示す、画期的な平和宣言だ。その意味で、「十・四宣言」はわが民族だけでなく、日本はもちろん世界中の人びとにとって非常に大きな意義のある宣言だといえる。情勢は必ず、すべてはつながっており、変化する過程として見なければならない。今回の首脳会談は、@年内に、北朝鮮が核施設の無能力化を行い、米国が「テロ支援国家指定を解除する」との六者協議の合意文が十月三日に発表された、という動き、A六・一五共同宣言から七年が経過しているという時間的な流れとつながりにおいて、正しく見て評価すべきだ。

 十・四共同宣言は、第一項目で宣言の根本精神を明らかにしており、「南と北は六・一五共同宣言を固守し、積極的に具現していく」となっている。これに基づき、具体的な実践として、平和体制を構築する、経済協力を推進するという構造になっている。

 盧武鉉大統領は十一月一日、民主平和統一諮問会議で首脳会談の報告をした。盧大統領は、核問題は六者協議で順調に進展しているので、あえて首脳会談で取りあげるつもりはなかったが、金正日国防委員長の方からこの問題を取りあげ、北側の六者協議首席代表の金桂寛外務次官を呼んで説明させたという。今回北側が、首脳会談を六者協議の場での朝米関係の変化と連係させて臨んだことは明らかだ。

 そのつながりのなかで、朝鮮戦争の終戦宣言のために、南北と米国および中国の首脳が朝鮮半島地域で会談する構想が提示された。すでに九月、ブッシュ大統領は盧大統領に、朝鮮戦争の終戦宣言をする用意があると金国防委員長に伝えてほしいと言った。そして、盧大統領は先の報告で、自分の任期中にできないことをなぜ宣言に書いてくるのかと発言して、任期内の実現を断言している。予想以上に早く朝鮮半島および北東アジアの安保秩序が根本的に変化することになるだろう。

 十・四共同宣言はまた、平和を土台に、わが民族が共栄していくための独創的な構想として、「西海平和協力特別地帯」を示した。休戦協定で南北の境界線が確定しておらず、偶発的な軍事衝突が起こりうるこの地域を、逆に平和と経済協力のモデル地域にしようとするもので、統一志向的であり、かつ民族経済の均衡的発展と共利共存の原則にかなうものだ。

 同時に、南北関係を統一志向的に発展させていくために、障害となっている法・制度の整備をしていくとした。これは具体的に、南側の国家保安法の廃止問題をさしているが、これを実質的に解決していくために、南北国会会談など各分野の対話と接触を積極的に推進するとした。非常に具体的で賢明な方式を示したといえる。

 この宣言では、海外同胞の権益のために協力を強化していくことが明らかにされた。これはわたしたちを励まし、鼓舞するものとなった。これは当然、在日同胞の権益についても論議される朝日国交正常化交渉にも大きな影響を与えるだろう。朝日交渉は単純な二国間の国交交渉ではなく、韓日条約であいまいにされた日本の過去清算と戦後補償を問い、わが民族全体と日本との間での、真の歴史清算を実現していくという側面をもっているからだ。また、この項目を具体化するためには、在日同胞の主体的な努力が必要だ。

 在日同胞も、第二回南北首脳会談と十・四宣言でいっそう大きくなった統一の流れに合流し、在日同胞社会の和合を実現するために、いっそう奮闘することが求められている。同時に、この流れにとって、大きな障害となっている日本政府の誤った朝鮮半島政策を是正させるため、日本のみなさんとの連帯をいっそう強固にして、前進していかなければならない。


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