民族時報 第1125号(07.11.15)


【焦点】最高裁が判決/戦後補償裁判で初勝訴

    徴用被爆者に国家賠償

 戦時中に強制的に広島に連行されて被爆した韓国人の元徴用工四十人(うち二十五人が提訴後に死亡)が、被爆者に対する援護を受けられなかったとして日本に損害賠償を求めた「三菱広島元徴用工被爆者補償請求訴訟」の上告審で、最高裁第一小法廷は一日、国側の上告を棄却する判決を言い渡した。これにより、一人あたり百二十万円、総額四千八百万円の支払いを国に命じた広島高裁での二審判決が確定した。

 第一小法廷は、被爆者援護を定めた当時の旧原爆二法(現在の被爆者援護法)が「居住地が日本国内であること」を援護の要件にしていないことを指摘。「法解釈を誤った違法な通達で、国の担当者には注意義務を尽くさなかった過失があった」とし、「被爆者が国内で健康管理手当の受給資格を得ても海外に移った場合には支払わない」とした七四年の旧厚生省通達(四〇二号通達、〇三年に廃止)は違法との判断を示した。そのうえで「違法な通達が存在したために援護を受けられず、被爆による特異な健康被害に苦しみつつ精神的苦痛を受けた原告らは、法的な保護の対象になる」と述べた。

 国が法律の解釈を誤って通達を出したことに対して国家賠償を認めた最高裁判決は初めてで、原告以外の「在外被爆者」も、同じように国家賠償が認められる可能性が出てきた。

 訴訟団の弁護団は、同日に声明を発表し、「このたびの最高裁判決の最も大きな意義は、一連の戦後補償裁判の中で初めて国の賠償責任を認めたことにある。とりわけ韓国との関係においては、長年にわたる日韓協議における未解決の問題のひとつである、被爆者に対する補償という問題について、日本国の責任を認めた意義は極めて大きい」「問題が本件訴訟の原告となった人たちに限られたものでないことは明らか」だとし、「日本政府は、最高裁判決を真しに受け止め、これまで長期にわたり在外被爆者を援護の対象外にしてきたことを謝罪し、その償いをなすべき」だと強調した。

 元徴用工らは朝鮮半島から連れてこられ、当時の三菱重工業広島機械製作所などで働かされ、一九四五年八月に被爆したが戦後は帰国し、長年にわたって被爆者援護を受けられなかった。

 一方、元徴用工らは三菱重工業に対しても賠償を求めていたが、二審判決は三菱重工業による戦前・戦後の違法な行為は事実として認定しながらも、強制連行や強制労働に対する賠償は、日韓請求権協定などを理由に退けており、第一小法廷も元徴用工側の上告を棄却した。


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