民族時報 第1124号(07.11.01)


【パンフレット紹介】正しく葬られる権利を戦後補償の問題として

    「遺骨の戦後」朝鮮人強制動員と日本

 人間には正しく葬られる権利がある。それは、何かの本に書いてあるからとか、そうした法律があるからとかいう後知恵ではなく、人間の尊厳と直結した本質的で不可侵のものだ。いずれ死なねばならない人間=個人が、また遺族が、彼・彼女らの望むように葬られるという、ごく当たり前の願いは、しかし、往々にして歴史によって踏みにじられてきた。

 日本帝国主義の朝鮮植民地支配と、その後のアジア太平洋侵略戦争の結果、朝鮮人は兵士として、また軍属として、日本軍「慰安婦」として、労働力として強制動員された。一九三九年から四五年にかけて日本各地に連行された朝鮮人は、少なくみても労務関係で約七十万人、軍務関係で約三十六万人以上とみられる。

 二〇〇三年十一月、韓国国会に「過去事件真相究明に関する特別委員会」が設置され、〇四年二月には国会本会議で「日帝強占下強制動員被害真相究明等に関する特別法」が可決成立し、同法に基づいて韓国政府のもとに「日帝強占下強制動員被害真相究明委員会」が設置され、被害申請の受付が開始された。〇六年七月現在、二十一万九千六百二十四人が被害申告し、うち死亡・行方不明は二万三千人に達しているという。

 この膨大な死者・行方不明者のほとんどは、正しく葬られなかった。それを証明するのが、日本各地の山野や寺院などに埋葬、あるいは放置されている、強制動員された引き取り手のない朝鮮人の遺骨の存在だ。

 本書は、こうした「遺骨の戦後」を、大日本帝国―日本国による朝鮮植民地支配の未清算問題として焦点を当て、わかりやすく解説している。問題は複雑ではない。歴史が無慈悲に個人の人生をじゅうりんする、そんな悲惨を繰り返してはならないと、遺骨がささやきかける、白くか細い声に耳を傾け、行動するということなのだ。なぜなら、わたしたちは、歴史の外へ出ることは、決してできないのだから。

(英)

(岩波ブックレット、定価四百八十円)


[HOME] [MENU] [バックナンバー]