【焦点】対北強硬政策からの転換期待
福田新政権が発足
九月十二日、安倍首相が突然辞任したことにともない、日本の政局は後継首相の選出に焦点が移った。自民党総裁選には福田康夫・元官房長官と麻生太郎・幹事長が立候補したが、二十三日の投開票で福田氏が多数の派閥からの票を取りまとめて圧勝し、二十五日国会での首班指名を受けて福田新首相が誕生した。
安倍前首相が進めた強硬一辺倒の対北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)政策は、急進展する東アジア情勢の中で、完全に行き詰まりを見せていただけに、ハト派の代表格といわれる福田首相がどのような対北朝鮮政策をとるのかは、大きな関心事となっている。まだ新首相の所信表明演説が行われていないため、まとまった政策は表明されていないが、総裁選などを通じての発言から、おおよそ推測することはできよう。
福田首相は十五日の総裁選共同会見で「対話と圧力の基本姿勢は変わらないが、昨今は交渉する余地がない情勢だ。姿勢や意欲が伝わる工夫をしないといけない」として、強硬路線の麻生幹事長との対比を見せて、注目を集めた。さらに十七日に大阪で開かれた街頭演説会では、拉致問題に言及して「わたしの手で問題を解決したい」と言明し、対話を通じた朝日国交正常化の実現に決意を示したといわれている。「圧力」を否定しないが、それだけでは事態は打開できず、対話による交渉を追及しなければならない、との考えのようだ。また、過去の歴史清算問題については、日本の植民地支配と侵略への反省と謝罪を表明した一九九五年の村山首相談話を継承する考えを示している。また、靖国神社参拝問題についても、「相手(韓国、中国)が嫌がることを敢えてする必要はない」と言い切った。こうした姿勢を大いに歓迎したい。
安倍首相の辞任後、韓国や中国のマスコミは「次期首相が誰であれ、右傾化を抑えて均衡感覚を備えた人物であるよう希望する」(十三日、韓国・京郷新聞)、「福田氏はアジア外交を重視し、首相の靖国神社参拝に賛成していない」(十三日、中国・新京報)として、福田首相の登場に期待感をにじませていた。これは政府次元でも同様であろう。
しかし、政策は実際に行われてこそ価値があり、評価の対象となるものだ。まずは十月十三日に期限切れとなる北朝鮮への経済制裁措置を延長しないことだ。あわせて北の水害復旧支援も行えばさらによいだろう。そして、朝日国交交渉作業部会で、ピョンヤン宣言に基づいて対話と交渉を誠実に進めていくことだ。福田政権がどのように出てくるか、南北はもちろん東アジア各国は注目している。