民族時報 第1121号(07.09.15)


【解説】米大統領「朝鮮戦争終結」言及/日本の強硬路線が大きな障害

    次の段階へと進む6者協議合意の履行

 七月十八日から二十日まで北京で開かれた六者協議首席代表会議の合意に基づいて、五つの作業部会が開かれ、朝日国交正常化作業部会を除いて、順調な成果をあげつつある。

 七月の合意は、@八月末以前に作業部会を開催するA九月初めに第六回六者協議第二ラウンドを開催してロードマップを作成するB第二ラウンド会議に続いて履行を確認・促進し、可能な限り早いうちに北京で外相会議を開催する――とした。朝日部会の遅れと進展のなさのために、第二ラウンドの開催は十月にずれ込むと予想されている。だが、この遅れはむしろ、劇的な変化を準備しているともいえる。この間に、第二回南北首脳会談が開かれ、それが好影響を与えるのは確実だからだ。

 六者協議の作業部会はまず、八月七日と八日に「経済及びエネルギー協力」作業部会が板門店で開かれ、対北支援の一部を重油の代わりに発電所改修などに必要な資材を提供することを検討することに合意した。

 続いて十六日と十七日に「非核化」作業部会が中国の瀋陽で開かれたが、それを前に朝米の六者協議首席代表が北京に入り、事前協議した。ここで、無能力化とすべての核計画の申告および、テロ支援国家指定解除問題が深く論議され、それぞれの提案を本国に持ち帰った。

 さらに二十日と二十一日には「北東アジアの平和と安全のメカニズム」作業部会がモスクワで開かれた。この部会では深い進展があったというよりも、議論を継続するという点で一致をみた。

 そして、九月一日と二日、スイスのジュネーブで「朝米国交正常化」作業部会が開かれ、両国の首席代表が長時間にわたって協議を行った。米首席代表のヒル国務次官補は閉会後の記者会見で、北朝鮮と年内に「すべての核計画の完全な申告」と核施設「無能力化」を行うことで合意したことを明らかにした。一方、北朝鮮首席代表の金桂寛・外務次官は閉会後、「多くの問題で意見の一致を見た」と語り、北朝鮮が米側に求めているテロ支援国家の指定や対敵国通商法に基づく制裁の解除を巡って、「米側は彼らが約束している政治経済的保障措置を取ることを再び確認した」と述べた。ヒル次官補は一日の会見で指定解除に向けた進展がありうることを示唆していた。

 北朝鮮外務省報道官は九月三日、ジュネーブの作業部会で、米国が年内に北朝鮮のテロ支援国家指定解除に応じることに朝米両国が合意したと表明した。これに対してヒル国務次官補は四日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれるオーストラリアのシドニーで、北朝鮮のテロ支援国家指定解除などは「北朝鮮の非核化に向けた対応次第だ」と応じた。

 この発言は、日本政府の「拉致問題の解決がない限りテロ支援国家指定解除はない」との主張と矛盾する。また時期についても、北朝鮮の核施設の無能力化を「年内」に行うことに対する「同時行動」として、年内に指定解除が行われることに朝米が合意したことは事実であることを間接的に裏付けたものだ。

 こうした朝米関係の進展を裏付ける発言をブッシュ大統領が続けている。彼は八月三十日、APECへの出席を前に、ホワイトハウスで会見し、「任期内に北朝鮮の核問題を解決することは可能だ」とし、「北朝鮮が(寧辺)原子炉の稼働を中断し、六者協議の成果が出ている。 問題は任期が終わる前に北の核問題を終えられるかどうかだが、これは可能なことだ」と展望した。

 続いて九月五日には、ハワード豪首相との首脳会談後の共同会見で、朝米作業部会で北朝鮮が年内に核計画を申告し、核施設の無能力化を行うと合意したことについて、「平和のために良いことだ」と前向きに評価した。ブッシュ大統領はこの日の朝、ヒル国務次官補から、ライス国務長官とともに朝米の協議内容の報告を受けたことを明らかにした。そのうえで、自身の政権で六者協議を立ち上げたことで「北朝鮮問題がうまく進んでいる」と自画自賛した。

 さらに七日の韓米首脳会談では、盧武鉉大統領に、第二回南北首脳会談で「今われわれは朝鮮戦争を終結すべきときにあり、それは可能であるというメッセージを金総書記に伝えてほしい」と要請した。

 米朝作業部会前のブッシュ大統領の発言は、ジュネーブの合意と一致する。また、協議後の発言は、その合意を追認したことを示している。つまり、朝米は最高指導部の直接関与のもとに、相当高いレベルでの合意が形成されつつあることがわかる。

 これと対照的なのが日本政府である。日本政府は五日と六日、モンゴルのウランバートルで行われた朝日国交正常化の作業部会で、北朝鮮が「拉致問題で誠意を見せなかった」として、経済制裁を半年間延長する方針を七日に固め、最近の豪雨被害への人道支援も行わないとしている。日本政府の極端な強硬姿勢は、結局は拉致問題の解決を遠のかせることになる。関係を正常化していくことで、拉致問題の進展解決も筋道が見出せるはずだ。真の解決のためには、冷静で賢明な情勢判断が求められる。

 朝鮮半島の非核化とこの地域の平和体制構築の動きは、大きく局面転換している。

(田泰淳記者)


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