【主張】
いまこそ対北政策の転換を
六者協議における二・一三初期措置合意の履行と朝米関係の改善が進むなか、六者協議や朝日交渉での日本政府の対応に関心が集まっている。
一日と二日、スイスのジュネーブで開かれた朝米国交正常化の作業部会では、年内に北朝鮮の既存の核施設を「無能力化」することに合意した。北朝鮮外務省は三日、米国が北朝鮮のテロ支援国家指定を解除することになったと伝えた。拉致問題の解決前の指定解除に反対する日本政府は「米国はそういうことはないと言っている」と、米国の「配慮」を強調しながら「けん制」した。しかし、米国は現時点での指定解除はないとしながらも、「それは北朝鮮しだい」だとし、合意が履行されれば指定解除に動くことを示唆している。
八月二十八日、安倍前首相は「拉致問題、核問題を解決し、不幸な過去の清算をして日朝の国交正常化を行っていく」と発言し、「過去の清算」に言及した。これに対しては、北朝鮮の宋日昊・朝日国交正常化担当大使が「評価する」と好意的な反応を示した。また、与謝野官房長官は四日、北朝鮮への水害復旧支援について、前向きな考えを表明した。
ところが、モンゴルのウランバートルで五日と六日に行なわれた朝日国交正常化作業部会の協議は、日本側の「拉致問題への固執」によって、「協議の継続で一致」との水準にとどまった。初日の「過去の清算」問題の協議に対しては、双方の認識一致に前進があったが、二日目の双方の懸案事項に関する協議では進展がなかった。日本側は拉致問題解決のためとして、@生存者の帰国A真相究明B実行犯の引き渡しを迫った。これに対して宋日昊・担当大使は、「できる限りのことをやってきた。さらなる措置を取る状況にない」と応じた。
これを受けて日本政府は七日、昨年十月に発動した北朝鮮に対する経済制裁措置を、期限切れとなる十月十三日以降も半年間延長する方針を固めた。さらに、国際社会が一致して取り組んでいる北朝鮮の豪雨被害に対する人道支援についても「今はまだその環境にない」(外務省幹部)と明らかにした。結局、日本政府は強硬一辺倒の対北朝鮮政策に固執する道を選んだことになる。
一方、オーストラリアのシドニーで行われた韓米首脳会談でブッシュ大統領は、第二回南北首脳会談を行う盧武鉉大統領に「今われわれは朝鮮戦争を終結すべきときにあり、それは可能であるというメッセージを金総書記に伝えてほしい」と要請した。「拉致問題の解決」で日本政府が頼りにするブッシュ大統領は、朝米関係の正常化へ踏み出す決意を固めていることを明確に表明した。
朝鮮半島の非核化、ひいては平和体制構築へ向けた北東アジアの情勢は明らかに転換した。日本政府にとっても、従来の政策を転換できる機会が訪れているのである。今からでも遅くない、賢明に対応することだ。一方的な主張を繰り返していては、日本の「孤立化」や「置き去り」は避けられない。