【焦点】安倍政権、孤立深まる一方
「対北強硬」に是正の声
対北強硬路線で「人気」を得て政権の座についた安倍首相が、その強硬姿勢によって足元をすくわれている。
参議院選挙での大敗が予想されている安倍政権後をにらんで、自民党の加藤紘一元幹事長が安倍首相の外交路線を強く批判した。
加藤氏は七月十七日、都内で講演し、安倍政権の外交路線に関し、拉致問題を重視するあまり日本が六者協議などで取り残される恐れがあると指摘、「安倍晋三首相と麻生太郎外相の外交感覚は、イデオロギーに支配されすぎていて古く、柔軟な道を取れない」と痛烈に批判した。六者協議首席代表会合に触れ、「日本は拉致問題があってなかなか柔軟な対応ができないが、注意しないと取り残される。ある日、米朝が国交樹立の方針で合意したということになったら、日本外交の立つ瀬はない」と強調し、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)への強硬姿勢の転換を求めた。
そうした日本の孤立を象徴するのが、六月二十一日に日本には事前に伝えられないまま行われた、六者協議の米国首席代表であるヒル国務次官補の電撃訪朝だった。
またBDA問題の解決後、ヒル国務次官補は六月二十五日、国務省での会見で「朝鮮戦争の休戦協定を平和体制に転換する和平プロセスを論議するために韓国、北朝鮮、米国、中国による四者協議を年内にも開始したいと表明」した。これは〇五年の九・一九共同声明の第四項目、二・一三合意の第六項目の「北東アジアの永続的な平和と安定のための共同で努力を約束した」に続いて明記された、「直接の当事者は、適当な話し合いの場で、朝鮮半島の恒久的な平和体制について協議する」に符合するアイディアだ。しかし、安倍内閣の塩崎官房長官は、無知か、意識的にか「四者とかいう定義は全くしていない」と発言して、平和体制協議に敵意を表明した。
北朝鮮は七月四日、「会談の進展を好ましく思わず、二・一三合意に基づく義務履行を拒否している日本が、六者協議に参加するのは不安定要因である」と指摘した。また、北朝鮮では、安倍政権による朝鮮総連と在日同胞に対する政治弾圧を糾弾する大衆集会が、十日のピョンヤン市を皮切りに、相次いで行われた。集会では、安倍政権の総連弾圧を「朝鮮に対する主権侵害行為」と断じ、絶対に妥協せず超強硬姿勢で対処していくとの立場が表明された。北朝鮮が日本だけを対象にこうした集会を開くのは類例がないと報道されている。十九日には、外務省が「日本は六者協議まで拉致問題の人質にしようとあがいている」とする備忘録を発表した。
安倍首相の対北強硬路線は、六者協議においても日本の孤立を深める結果をもたらしている。