民族時報 第1114号(07.06.01)


【焦点】安倍政権「戦争できる体制」急ぐ

    右傾化加速する日本

 「戦後レジームからの脱却」を掲げる安倍晋三政権のもとで、日本の右傾化が一層強まっており、教育基本法改悪や防衛庁の「省」への昇格、憲法改悪に向けた国民投票法案の可決など、「戦争を遂行できる国家体制」づくりに向けた具体的な法整備が着々と進められている。

 五月十八日、教育に対する国の関与と統制の強化を目的とする教育三法が衆院本会議で通過した。また五月十五日には、七月末で期限切れとなるイラク復興支援特別措置法を二年間延長する案が衆院を通過した。参院で可決、成立すれば、航空自衛隊のイラクでの輸送活動が延長される。米国はイラクの大量破壊兵器の存在を口実にイラク侵略戦争を強行したが、結局その大量破壊兵器は存在しなかった。ブッシュ米大統領は情報の誤りを認め、ブレア英首相は退陣に追い込まれた。米議会もイラクから米軍を撤退させる法案を可決した。ところが、日本政府は開戦の正当性を主張し、支持する姿勢を変えていない。多国籍軍を離脱する国が相次いでおり、イラクのマリキ首相は「今年中にも日本の部隊は必要なくなる」と述べている。にもかからず、日本政府はイラクへの継続派兵を明らかにしたわけだ。さらに五月二十五日には自衛隊法の改悪案を可決させた。同案では海外派兵の先遣隊となる陸上自衛隊の「中央即応連隊」を新設し、これまで海上自衛隊の地方隊に配備されていた護衛艦部隊を、海外任務も担う護衛艦隊に組み入れるとしている。

 これは、海外派兵を自衛隊の「本来任務」に位置づけた防衛省法の成立を受け、自衛隊組織の再編をねらったものだ。一方、安倍首相は「有識者懇談会」なるものを発足させ、憲法で禁じられている集団自衛権の行使に向けた憲法解釈のための研究にも着手した。

 また、安倍首相が四月の靖国神社の春季大祭期間、参拝しない代わりに「内閣総理大臣」名で供え物の「真榊」を奉納していた事実が明らかになった。これに対し韓国政府は、「過去の侵略戦争を美化し、戦争犯罪者を合祀した靖国神社に安倍首相が供え物を奉納したのは領域内の平和と安定の根幹になる正しい歴史認識の定立に逆行するもので、非常に遺憾」と論評した。

 日本は、侵略戦争を美化して国民を戦争に動員するためのイデオロギーを鼓吹しながら、具体的な軍事力の海外展開に向けて法制度の改悪に拍車をかけている。戦争放棄を定めた九条撤廃など、憲法改悪を視野に入れた「戦争をできる国家体制」づくりは危険な段階に入っている。


[HOME] [MENU] [バックナンバー]