民族時報 第1113号(07.05.15)


【講演】人権博物館の建設で/ハルモニの願い形に

    尹美香挺対協共同代表

 「戦争と女性の人権博物館建設」支援を訴えるために訪日した、「韓国挺身隊問題対策協議会」の尹美香共同代表の四月二十八日の講演要旨を紹介する。文責は編集局にある。

 元「慰安婦」のハルモニ(おばあさん)たちに多くの時間は残されていません。今年に入って二人亡くなられ、去年は五人、一昨年十七人亡くなられました。元「慰安婦」だったことを申告されたハルモニは二百三十四人で、生存されているのは百十二人です。

 いま、安倍首相への抗議のために米国に行っておられる李容洙ハルモニは、膝を痛めて通院しておられ、訪米直前も治療を受けてから訪米されました。老いによる病気もありますが、若い時に受けたひどい経験によるものが少なくありません。

 ハルモニたちは「わたしたちが生きていても真実を隠して責任逃れをしようとするのに、わたしたちが死んで証言者がいなくなったらどうなるだろう」と不安な思いを吐露しています。

 韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)は、ハルモニの世話など日常的な活動のほかに、二つの活動を推進しています。

 一つは国際キャンペーンです。安倍首相は、「強制の証拠はない」との発言で国際的に非難をあび、「河野談話の継承には変わりない」と弁明しました。これは国際的な圧力を感じたからだと思います。九月にアムネスティインターナショナル米国支部とともに米国各地でキャンペーンを行います。

 国際キャンペーンに対して、日本ロビイストは、「韓日間の問題をなぜ他の国にまで訴えるのか」「なぜ、反日感情をあおるのか」などと批判します。それは正しくありません。国際キャンペーンは、日本政府や日本への反感をあおるためではなく、「慰安婦」問題の犯罪の主体に対する行動です。過去の問題が解決できておらず、犯罪者が処罰されていないため、過去の戦争が「正義の戦争だった」などという認識が育成されるのです。わたしたちは、国際キャンペーンによって、日本政府に国際社会の模範となるよう求めているのです。

 二つ目の事業は、博物館建設事業です。結成以来の挺対協の要求は、以下の七項目です。@戦争犯罪の認定A真相究明B公式謝罪C法的賠償D責任者処罰E歴史教科書に記録F追悼碑と資料館の建設――です。ハルモニたちは、丈夫で頑丈な博物館を建てて、平和と人権の大切さを伝えて欲しいと願っています。

 西大門公園に用地は確保できました。ところが今年三月一日に予定していた着工式を行えませんでした。着工式を行うための総予算五十億ウォンの七〇%、三十五億ウォンを確保できなかったからです。三年前から、さまざまな募金活動をしてきました。その結果、三年間で四億五千万ウォンを集めることができました。大企業にも要請しましたが企業イメージと合わないなどとあまり協力してもらえませんでした。慰安婦に対する偏見が根強く、性的問題は忌避しようとするなど、認識の欠如が背景にあります。着工するにはあと約三十億ウォン必要です。

 博物館建設運動は「過去を清算する」運動を一段階高める、「未来を準備する」運動です。「被害を受けたハルモニ」が運動を通して「闘うハルモニ」に変わりました。そしてこの博物館の建設によって「未来に希望を与えるハルモニ」になろうとしているのです。博物館建設事業の趣旨を理解していただき、建設事業に参加してくださるよう、心から訴えます。

 挺対協運動を始めたころには、道が見えませんでした。日本、アジア、世界の活動家と運動を進めるなかで道が見えてきました。もう少しで頂上にたどりつきます。安倍首相らの動揺は、その反証です。「拉致は現在の問題で、慰安婦は過去の問題」などとの詭(き)弁は窮地に陥っているからです。過去と未来はひとつです。

 日本政府の高官が、靖国神社でなく、戦争と女性の人権博物館で追悼するその日を実現するため、頂上を目指して、道をつくって来た同志として、つないだ手を離さず前進していきましょう。


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