【論説】米大統領「北に時間ある」/「被害者に謝罪を「と批判
首相への批判やまず 当てはずれの訪米
日本の安倍首相は四月二十六日に訪米し、ブッシュ大統領と首脳会談を行った。訪米の目的は、ミサイル防衛体制構築のための協力など軍事同盟強化と、六者協議の二・一三合意で朝米二国間関係が敵対から対話・交渉に変化していることに対し、拉致問題を浮上させて制動をかけ、ブッシュ大統領を対北強硬路線に引き込むためのものだった。安倍首相はその対価としてイラク駐屯米軍を支援するイラク特別措置法の延長と、集団的自衛権の積極検討方針を米国に提示した。
安倍首相訪米直前にホワイトハウスは、「日本は韓国などの周辺諸国と摩擦を起こしている第二次大戦当時の歴史問題を解決できる道を模索する必要がある」と要求したこともあって、米国内で日ごと高まる「慰安婦」問題への批判を鎮めることも重要な課題だった。三百人以上の機動隊を動員して総連関係の施設を強制捜索する政治弾圧で拉致問題を浮上させ、対北嫌悪感をあおり、訪米の雰囲気を意図的に造成したのは出発一日前だった。
しかし彼を迎えたのは「慰安婦」問題に対する批判一色だった。
性奴隷として強制動員
ホワイトハウス前の広場では、アムネスティーやワシントン地域の市民団体による沈黙デモが行われ、元「慰安婦」ハルモニの「安倍首相はひざをついて謝罪しろ」と声がこだました。ニューヨーク、シカゴでも同時にデモが行われた。マスコミも批判的だった。ワシントン・タイムス(四・二六)には、二十万人の女性が日本政府によって性奴隷として動員されたことを暴露し、事実を否定する日本政府を批判する全面広告が掲載された。USAトゥデイ(四・二七)は社説で「現在の米国の世論は、日本政府が第二次大戦当時のそのような悲劇を公式に認め、謝罪しなければならないというもの」だと強調した。
首脳会談(四・二七)で安倍首相はまず、六者協議を通して北の完全な核放棄を実現しなければならず、拉致問題が解決しなければ対北エネルギーなどに参加できないという強硬な立場を明らかにした。また北朝鮮が日本人拉致問題と関連して適切に対応しないなら、日米が一層強硬な措置を取らなければならないと語り、拉致問題解決により強硬な方針を堅持してくれるよう要請した。ブッシュ大統領は共感を表明しながらも、朝日間の対話を通して問題を解決するよう望むという立場を明らかにしたと伝えられた。
首脳会談後、合同記者会見でブッシュ大統領は「北の核問題は外交を通じて解決するのが最善策」であり、対話で解決しなければならないとの意志を明らかにし、二・一三合意の履行と関連して「北朝鮮の指導者が正しい選択をする時間がまだ残っている」と強調、今すぐ北朝鮮に対する制裁や圧迫を加えないという姿勢を見せた。米日同盟で制裁強化をねらった安倍首相の的がはずれたと言える。
日本政府は対北制裁の強化に必死だが、BDA資金の問題が解決して北朝鮮が六者協議の合意を履行すれば、日本政府にはテロ支援国指定解除の協議、朝日関係正常化交渉再開、エネルギー支援などの合意を履行する義務と責任があるのだ
米大統領は被害者ではない
「慰安婦」問題と関連して安倍首相は、ブッシュ大統領と米議会指導者らに「『慰安婦』らに申し訳なく思う」「個人として、また首相として『慰安婦』らに同情する」という奇妙な発言をし、「慰安婦」問題に対して明確な謝罪をしなかった。シューヨーク・タイムス(四・二七)は「安倍首相が軍隊『慰安婦』問題に対する日本側の責任を避けるため、あいまいな表現を使った」と指摘した。マイケル・ホンダ議員はニューヨーク・タイムスとの会見で、日本政府が内閣の承認と議会通過を経た公式謝罪を「慰安婦」の被害者らに直接行わなければならないとしながら、「ブッシュは性奴隷の被害者ではない」と皮肉った。
一方、東京新聞は社説(四・二九)で「首相は『戦後レジームからの脱却』と言っているが、歴史認識があいまいではっきりせず、火種は残ったまま」であるとし、なぜ米国にだけ謝罪するのか首相の説明を聞きたいと批判した。
首脳会談で日本人拉致問題を浮上させてブッシュ政権を対北強硬政策に旋回させ、米国内の批判世論を鎮め、米下院の「慰安婦」強制動員非難決議案採択を阻もうとした安倍首相のうすっぺらな下心は的がはずれてしまった。決議案に署名した議員は首相訪米直前の九十人から、五月二日現在で百四人に増えた。安倍首相の「謝罪」発言はむしろ米国内の批判世論をあおる結果となった。首脳会談の成果よりも懐疑的な反応の方が大きいという証拠でもある。
「慰安婦」の蛮行を犯した主体が誰なのかを明らかにもせず、「慰安婦」被害者には背を向けながら、被害者でもないブッシュ大統領と米議会指導者らに謝罪した安倍首相は、物笑いの種になった。朝鮮の女性をはじめ二十万人のアジア女性を強制動員、拉致した事実にはそっぽを向き、日本人拉致問題だけを振りかざす安倍首相には、みじんの良心もないのかと疑ってしまう。
(金明姫記者)