民族時報 第1112号(07.05.01)


【論説】米企業の韓国市場支配が完成/格差の拡大が一層深刻になる

    さらに高まる韓米FTA無効の闘い

 四月二日の韓米自由貿易協定(韓米FTA)電撃妥結にともない、六月に両国の協定文署名、国会批准動議で協定が発効することになる。しかし国内では、協定無効運動が一層し烈になっている。政府は五月二十日を目標に協定文を公開するとしたが、米国がもう少し時間が必要との立場で、交渉内容に対する不信感を増幅させている。そのうえ米国は、環境、労働部門に対する再交渉の可能性を韓国側に通報しており、一層不利な内容になる可能性も排除できない。

 韓米FTAが発効すれば、多国籍企業の市場支配力の濫用と国際的な談合行為が大幅に増えるだろうと憂慮する声が大きい。また妥結以後に予想される期待利益が、妥結以前に展望されていた期待利益よりも大幅に小さいだろうとの分析もある。対外経済政策研究院(KIEP)によると(京郷新聞 四月二十三日付)、妥結前に政府は雇用が五十一万八千人(三・一〇%)増加すると予想していたが、実際にはかなり低く、雇用創出規模は生産性の増大効果を除けば十万四千名にとどまるだろうとの分析だ。産業研究院(KIET)も、自動車部門の関税完全撤廃を前提にした韓米FTAの発効初年度だけで、輸出増加八億六千万ドルと展望していたが、発効後十年間の平均対米輸出増加額を八億千三百万ドル水準と推定している。

 韓米FTA阻止汎国民運動本部(汎国本 およそ八百の社会市民団体で構成)の「韓米FTA交渉総合評価および分科別報告書」(分野別の専門家二百人が分析)によると、両国間の主張が食い違う争点のうち、米国側の要求どおりに反映されている率が七七%、韓国側の反映率が八%で、従来の目標の十分の一にも達していない。

 密室交渉は無効

 交渉妥結後、相次いで否定的影響が提起されるなか、「韓米FTA交渉を廃棄しろ」と叫んで四月一日に焼身したホ・セウク氏(ハンドク運輸労組員)が十五日に他界したことを契機に、反対運動は一層激烈になっている。市民社会団体は「韓米FTA無効 民族民主烈士ホ・セウク同志葬礼式」(四・一八)を開き「韓米FTA無効」「盧武鉉政権退陣」を叫んで決死反対を誓った。

 汎国本は十三日に「韓米FTA無効 全国社会団体非常代表者会議」を開き、五月中旬頃の協定文公開時点と九月の定期国会開院時期に中規模の闘争を、協定文署名時期の六月末の一週間と十一月中下旬頃に総決起闘争を行うことにした。彼らは「国民が同意していない韓米間の密室交渉はもとから無効」であり、国民投票の実施と交渉情報の公開を要求している。

 一方、韓国農業経営人中央連合会は六月二十日に十二万人規模の「韓米FTA阻止のための韓農連第二回総決起大会」を開く予定だ。また五月中旬から地域巡回の懇談会などを開く方針で、国会批准阻止のために今月から地方区の国会議員らの反対署名運動を展開する。

 韓国進歩連帯(準)と四月革命会など、各界人士らも四・一九革命四十七周年を迎えて合同参拝式を開き、韓米FTA阻止を誓った。これらの団体は「四月革命四十七周年宣言」で米国は韓米同盟の強化を押し立てて新自由主義の世界覇権戦略の東アジア前哨基地を確保するため、自由貿易協定締結に腐心しているとし、民族大団結の原則で難局を突破しようと主張した。

 釜山でも十四日、「韓米FTA妥結無効、国会批准反対 釜山市民第二回キャンドル文化祭」が開かれ、反対の声をあげた。

 大統領選挙を韓米FTAの審判の場に

 一方、国会の前で二十五日間の断食闘争を展開した千正培議員は「韓米FTA反対闘争を推進し朝貢交渉を無効化させる」とし、進歩勢力との連帯活動を始める予定だと明らかにしている。また千正培議員と金槿泰前ウリ党議長ら議員五十五名は、市民社会団体と「韓米FTA国民会議(仮)」構成に合意した。

 青瓦台の前で二十六日間の断食ろう城を行った民主労働党の文成賢代表は、大統領選挙まで党の力量を結集して韓米FTA反対の連合戦線をつくり「今回の大統領選挙を韓米FTA審判の場とする」という覚悟だ。

 拙速な韓米FTA妥結で憂慮されることは何よりも、市場開放による外国資本の占領によって、まかり間違えば自国産業の基盤を失ってしまうことだ。また社会の二分化を加速化させ、労働者や農民ら社会的弱者の生存が脅かされる。それだけでなく、農畜産物などの無分別な開放で食糧主権を奪われてしまうという憂慮がある。競争力の喪失で、汚染された外国産の食品に国民の食生活を依存して、果たして自主的な国家と言えるだろうか。

 被害が予想される部門に対して政府次元で支援策を積極的に行うというが、小細工で解決できる問題ではない。今後、協定文が公開されればわれわれに不利な内容が具体的に明らかになり、反対世論は一層拡大すると思われる。

(金明姫記者)


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