民族時報 第1079号(05.11.15)


【焦点】ハンセン病 東京地裁に怒りと涙

    韓国人患者に不当判決

 日本の旧植民地支配下の韓国と台湾に設置したハンセン病療養所の元患者ら計百四十二人がハンセン病補償法に基づく補償請求を日本政府が認めなかったのは違法とする、処分取り消しを求める二つの訴訟の判決が十月二十五日、東京地裁であった。

 韓国の元患者(小鹿島・国立ソロクト病院の百十七人)について、東京地裁民事三部(鶴岡稔彦裁判長)は国内療養所と旧植民地の韓国や台湾などの外地療養所の「区別を予定した明確な規定はない」としながら、「補償金の支給請求を認めなかった決定は適法」として原告の請求を棄却する不当判決を出した。韓国側原告の蒋基鎮さん(八十四歳)は「本当に悲しく言葉も出ません。今までの苦労が水の泡になりました。同じ被害を受けて一方が笑い、一方が泣いて帰るのは、理解できません」と怒りに体を震わせていた。

 一方、台湾の元患者(楽生療養院の二十五人)については、同民事三十八部(菅野博之裁判長)は「補償法は国籍や居住地による制限はない」と断言し、「(台湾の施設)入所者を補償の対象から除外することは、平等扱いの原則」に反するとして原告側の請求を認め、補償金を支給しないという厚生労働省(厚労省)の決定を取り消した。原告側が全面勝訴した。

 勝訴判決を出した菅野裁判長は「補償法は、広く網羅的にハンセン病の救護、療養施設に入所していたものを救済しようとした特別な立法」と強調した。そのうえで、立法趣旨について「偏見や差別と隔離政策の中で、多大な苦難を強いられてきたことを真しに受け止める」ことを求め、入所者の「心身の傷跡の回復と今後の生活の平穏」を求めた特別の補償と指摘している。

 裁判は、旧植民地統治下の国立ハンセン病療養所は補償法の対象に入るのかが争点となり、原告は「憲法の定める平等原則に反する」として補償を求め、昨年提訴した。両原告団・弁護団は、「韓国訴訟」については控訴し、「台湾訴訟」については日本政府に控訴断念を迫っていく方針だ。

 これに関連して、厚労省は四日、韓国と台湾の原告らを包括的に救済する方針を固めた。日本政府が敗訴した台湾訴訟判決については、東京高裁に控訴したうえで、補償額や支給対象者の認定方法など救済の枠組みの細部を詰め、控訴後の和解を目指すという。対象者は韓国、台湾を合わせて四百人以上になる。

 両施設の前身は、朝鮮、台湾の総督府が設置した療養所で、両原告らは植民地時代に強制隔離政策によって入所させられ、厳しい虐待や社会的差別を受けてきた。そのため帰郷もままならず、今もそこで暮らしている。当時は、強制労働や強制断種・堕胎などが行われたといわれている。


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