民族時報 第1077号(05.10.15)


【解説1】朝鮮有事対備で機能強化へ/韓国で移転拡張に反対高揚

    基地再編で強まる米日軍事一体化

 二〇〇四年八月にブッシュ米大統領が「今後十年間、アジアとヨーロッパを中心に六―七万人の海外駐留米軍を縮小する」と公式発表した。いわゆる米軍再編計画である。この計画により、東アジアにおいては、駐韓米軍が二〇〇八年までに一万二千五百人削減することになっているが、在日米軍はむしろ増強される展望を見せている。

 もとより、米軍再編計画は海外駐留米軍の規模縮小だけを取り上げて論ずることはできない。米軍再編計画は、海外駐留米軍の体形をスリムにするところに目的があるのではなく、世界各地で発生する「テロと紛争」に、迅速に対応できる最先端の機動軍で海外駐留米軍を再編成するという構想である。

 海外駐留米軍はその役割と機能により四段階に分かれているが、在日米軍は大規模部隊と装備を恒久的に配置して、世界各地に投入できる最高位の基地として規定されている。在日米軍は、東アジア地域を含む広範な地域における、米軍の戦略的拠点基地としての機能を果たすことが求められており、米日間ではその方向で論議が進んでいる。

 米日両政府はすでに@横田基地(東京都)を共同使用し、ミサイル防衛のための共同作戦センターを設置するA米本土にある陸軍第一軍団司令部を改編した拠点司令部をキャンプ座間(神奈川県)に配置する――などで合意した。沖縄の米海兵隊普天間基地の移設問題は、米日協議で大きな焦点となっている。

 一連の再編で米国政府が重視したのは、駐韓米軍の削減後の朝鮮半島有事に備えた在日米軍の機能の強化である。全世界に二十か所ほど新設される拠点司令部のひとつが、座間に来ることになった。拠点司令部は普段は実戦部隊を持たず、いざというときに機動力を増した旅団規模の実戦部隊を集めて、作戦指揮をするという。朝鮮半島有事には、米本土などから実戦部隊を現地に派遣し、座間が作戦を指揮することを狙ったものである。

 米軍と自衛隊の司令部の一体化を進めることも有事に備えた機能強化だ。防衛庁は座間に、陸上自衛隊の将来の中枢部隊である中央即応集団の司令部を置くことを検討中だという。在日米軍司令官を兼ねる第五空軍司令官がいる横田に、航空自衛隊の中核である航空総隊司令部を移転し、ミサイル防衛の司令塔となる航空総隊司令官は横田で米軍と情報を共有しながら、弾道ミサイル攻撃に対処するという。海上自衛隊は、米第七艦隊の旗艦ブルーリッジや空母キティホークが横須賀基地を母港化しており、横須賀の海上自衛隊、自衛艦隊司令部とすでに連携体制にある。米日両国の軍事一体化が強化されている。

 このように在日米軍の再編計画がはらむ最大の問題は、朝鮮半島有事を想定して計画が進められているところにあり、日本政府が米国政府の意向に沿いながら、軍事国家として変貌を遂げようとしている点にある。

 しかし、速度を高めている在日米軍再編計画は、米日安保条約でさえ抵触する部分があり、日本の軍事力保有と行使を禁じ、集団的自衛権も認めていない日本国憲法とも衝突する。日本政府が、自衛隊の海外派兵と集団的自衛権の行使を認めるよう、憲法「改正」を急ぎ、米国政府がそれを後押しするのは、こうした脈絡からだ。

 一方韓国内では、駐韓米軍再編問題と関連して、注目すべき動きが起こっている。

 林鍾仁議員(ウリ党)は九月二十二日、国政監査で、軍事主権のために戦時作戦指揮権を国軍へ返還するよう主張した。これに先立って実施されたメディアリサーチ社の世論調査結果でも、六六・七%が戦時作戦指揮権の返還を求めている。「国軍の日」の十月一日には、盧武鉉大統領自身が戦時作戦指揮権の国軍への返還を強調した。

 九月五日に張永達議員(ウリ党)室が韓国社会言論研究所に依頼して実施した世論調査では、駐韓米軍の海外紛争地域への軍事派遣、いわゆる「戦略的柔軟性」について、受容できる四七・一%、受容できない四九・九%となり、韓国政府の軍事主権を無視して、朝鮮半島の平和を脅かす駐韓米軍の軍事行動に、厳しい視線が注がれていることを示している。

 また、崔星議員(ウリ党)が二十六日、春川市にある駐韓米軍基地に一九八七年ごろ、核兵器が配備さていたことを示す米国防総省の文書を入手したと明らかにし、論議を呼んでいる。

 龍山米軍基地の平澤への拡張移転に、断固反対する闘いも引き続いて高揚している。土地収用手続きを強行しようとする当局に対して、平澤汎国民対策委員会は、七月に続いて十二月十一日に「米軍基地拡張阻止・朝鮮半島平和実現!平和大行進」を行う予定だ。

 六・一五南北共同宣言が発表されて以後、南北の交流と協力が飛躍的に進み、朝鮮半島の平和と自主統一の実現が確固とした流れとなる中、これに逆行する駐韓米軍の存在と在日米軍の再編計画を含む海外駐留米軍再編問題が、南北海外全同胞の熱い関心の的となっている。

(成東哲記者)

 

 

 

 


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