民族時報 第1065号(05.05.21)


【解説】韓中ロは平和的解決再確認/ブッシュ政権の孤立鮮明に

    6者協議をめぐる各国の立場と動き

 朝鮮半島の核問題解決のための六者協議が、昨年六月の第三回協議以来ほぼ一年に渡って中断している。この中断の期間にブッシュ米大統領が再選し、「先制攻撃戦略」を再宣言した。また北朝鮮を「圧政の拠点」とするライス米国務長官の発言もあった。一方、北朝鮮は二月十日の外務省声明で「六者協議への参加の無期限中断」を宣言し、同時に「核武器庫増加対策」も明らかにした。こうして六者協議崩壊の可能性さえ浮上した。

 現在のこう着状態の出発点は第三回協議の結果にある。中国がまとめた議長声明は「早期の第一段階の措置」として、北朝鮮の既存の核施設の凍結の見返りにエネルギー支援、米国のテロ支援国家解除などを確認した。また、「言葉対言葉、行動対行動のプロセスが必要」との表現で、北朝鮮の主張する「同時行動原則」が再確認された。つまり、米国の強硬姿勢の背景には、六者協議における米国と日本の孤立がある。

 北朝鮮はさらに、三月三十一日の外務省談話で「われわれが核兵器保有国になったいま、六者協議は当然、参加国が平等な姿勢で問題を解決する軍縮会談になるべきだ」と明らかにした。この談話が従来の主張と異なるのは、「もはや、六者協議で凍結と補償のような取り引きの問題を論じる時期は過ぎ去った」と、朝米対立状況の認識が引き上げられていることだ。

 北朝鮮はこうした立場を中国に説明するために、姜錫柱・第一外務次官を四月二日から五日まで中国に派遣した。そして十一日には寧辺の原子炉から使用済み核燃料棒を取り出す作業が完了した、と明らかにした。ただ見逃してはならないのは、北朝鮮が必ず「対話と交渉による問題解決」と「朝鮮半島の非核化」に言及していることだ。

 ブッシュ政権はこれに対して激しく反応した。マクレラン大統領報道官は四月十八日、「北朝鮮が六者協議復帰を拒否する場合、間違いなく他の諸国とともに次の措置を協議するはずであり、国連安保理付託もその措置の一つになり得る」と述べた。

 また同時期、米政府のリークに基づいて米マスコミ各紙が、「北朝鮮が核実験を準備」と報道し始めた。そして、ブッシュ大統領は四月二十八日、ホワイトハウスで記者会見し、金正日・国防委員長を「危険な人間」「暴君」と呼び、米軍の大規模なイラク駐留が北朝鮮への軍事オプションを制限することはない、との強硬姿勢を改めて示した。その一方で、六者協議で解決策を探る姿勢を強調し、国連安保理に付託する場合には、「関係国の同意がいる。なぜなら、安保理で拒否権を持つ国(中国、ロシア)があるからだ」と述べた。

 ここに見え隠れするのは米国のジレンマだ。強硬路線が本音でありながら、関係国の同意がえられない。かといって、交渉のため「譲歩」もしたくない。

 ブッシュ政権はいったん、五月九日の対独戦勝六十周年記念式典出席のために、北朝鮮を除く六者協議参加国首脳が一堂に会するモスクワに焦点を合わせ、一連の強硬姿勢を示したといえる。

 しかし、結論から言うと、米国の思惑どおりにことは進まなかった。北朝鮮外務省スポークスマンは八日、モスクワでの一連の首脳会談に照準を合わせて、「われわれは六者協議と別の米朝協議を要求したことはない」と述べ、「米国がわれわれを主権国家と認定し、六者協議で二国間協議をする準備があるとの報道があるので、それが事実かどうかを米国側と直接会い、確認してから最終的に決心するのみだ」と明らかにした。同時に「圧政の拠点」とのライス国務長官の発言撤回を求めた。

 ブッシュ大統領は八日、プーチン露大統領と会談し、六者協議の枠組みと同協議に北朝鮮が復帰することの重要性を改めて訴えたが、核実験については言及しなかったという。強硬路線への支持がえられなかったということだ。一方、盧武鉉大統領は中国の胡錦涛・国家主席(八日)、プーチン大統領(九日)と相次いで会談し、六者協議の枠組みで平和的に問題を解決していくことで一致した。ここでも米国の強硬路線の孤立が浮き彫りにされることになった。

 こうした流れのなかでライス国務長官は九日、モスクワでCNNテレビに対して、「米国は北朝鮮を主権国家として認めているし、六者協議の枠組みの中で米朝協議に応じてきた」と述べ、さらに「米国は北朝鮮を攻撃、侵略する意図はない。六者協議では多くの国が北朝鮮のエネルギー支援について言及し、多国間で北朝鮮に『安全の保証』を与えることが可能だと話し合ってきた。これらは北朝鮮の利益になる」と発言した。

 朝鮮半島の核問題は、米国が北朝鮮を圧迫しようとすればするほど状況の悪化を招き、結局は米国が譲歩し、対話と交渉で平和的に解決するしかないという原点に、一年を経て回帰したと見ることができるだろう。

(高雄埴記者)


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