【焦点】発動に向けて地ならし狙う
自民党が対北制裁に向けて中間報告
日本人拉致問題などを話し合う第三回朝日実務協議が九日から四日間、ピョンヤンで開かれ、問題解決に向けたて突っ込んだ論議が行われた。
今回の協議では、北朝鮮側から安否不明の被害者十人の再調査を担当する調査委員会の責任者(人民保安省局長)が初めて出席、日本側に再調査結果を報告するなど、北側の誠実な姿勢が読み取れた。
これに先立って、自民党は五日、党本部で拉致問題対策本部(本部長・安倍晋三幹事長代理)の会合を開き、北朝鮮の行動に応じて五段階の経済制裁措置を実施することを柱とした「対北朝鮮経済制裁プログラム」の中間報告をまとめた。
同時に経済制裁の発動とは別に、総連の関連施設に対する固定資産税減免や関連機関への補助金支出を行っている地方自治体に見直しを要請することを決め、物議を醸している。
プログラムによると、「第一段階」は法律による制裁発動を伴わない「警告的段階」として、食糧や医療支援などの人道支援を凍結・延期する。
それでも北朝鮮の行動が改まらない場合として、「制裁段階」に移り、外国為替・外国貿易法や特定船舶入港禁止法に基づく制裁を発動させるとしている。この制裁段階は四つのレベルに分け、「第二段階」では日本から北朝鮮へ運ぶすべての手荷物や物資、送金に報告義務を課し、「第三段階」では貿易や送金の部分停止を実施する。さらに「第四段階」では貿易、送金を全面停止し、北朝鮮の貨客船「万景峰92号」など特定船舶の入港を禁止する。最終の「第五段階」では漁船などを含むすべての船舶入港を禁止し、朝日間のモノやカネ、ヒトの流れを完全に遮断するとしている。
北朝鮮がどのような行動をとった場合に、どの段階の制裁を発動するかは、「北朝鮮に手の内を明かすことになる」として明記していない。また、いったんすべての制裁を実施し、北朝鮮側の対応次第で段階的に制裁を解除していくプランも示している。
自民党内の対北強硬派で、拉致議連や「救う会」全国協議会と緊密な関係をもつ安倍幹事長代理は早速、朝日実務協議を前に、(北朝鮮が誠意を示さなければ)経済制裁を発動するよう政府に申し入れると述べ、北朝鮮をけん制している。
同本部の関係者は、プログラムを通して経済制裁の具体的な内容を北側に突きつけることで、拉致問題などの早期解決を促すとしている。だが、本音の部分で対北敵視・封鎖政策に基づく「先に制裁ありき」が透けており、早期国交正常化を求める両国民衆に警戒心を呼び起こしている。
結局、拉致問題の解決はいたずらに強硬策を取るのではなく、双方が誠実に粘り強く協議していく以外にないことを知るべきである。