【主張】
対北核戦争計画を放棄しろ
米国は北朝鮮と武力衝突が起こったら、三十発の核兵器を使用するとの戦争シナリオを研究していたことが明らかになり、内外に大きな衝撃を与えている。また、朝鮮半島有事に対応して、核兵器使用のための模擬弾頭投下訓練を実施していたこともわかった。
これは米国の反核・環境保護団体が、情報自由法に基づいて公開を要求して入手した米政府の機密文書と、中央情報局(CIA)機密文書、民間研究所が入手した機密文書などを引用して、七日に日本の共同通信が報道した特集企画記事で明らかにされた。
米国の民間シンクタンクのノーチラス研究所が入手した「北朝鮮軍のぜい弱性」という題名の一九七八年三月に作成された文書には、北朝鮮軍が南侵する場合、核兵器三十発を使用するシナリオを描いている。同シナリオは国防部核兵器局が民間に委託して研究したものである。
一方、反核・環境保護団体の天然資源保護協会のハンス・クリステンス氏が入手した機密文書によると、米軍は、米本土から北朝鮮まで核兵器を航空機で運搬して攻撃することを想定して、空中早期警報統制機(AWACS)とKC135空中給油機、F15E戦闘爆撃機二十四機などが参加した模擬核弾頭投下訓練を、一九九八年一月から六月まで実施した。
過去の歴史が物語るように、米国の朝鮮半島での核戦争シナリオは、きわめて現実性を帯びている。実際、米国はすでに広島と長崎で核兵器を使用した国である。広島と長崎で原爆の威力を確認した米国は、核の使用を強硬に主張したマッカーサー司令官の言動に象徴されるように、朝鮮戦争でも核兵器を使おうとした。これはソ連の核保有による核独占の崩壊に加え、核兵器に反対する国際世論によって断念させられた。しかし米国は、それ以降も朝鮮半島に核兵器を搬入しつづけ、緊張が高まるたびに核使用をほのめかし続けてきた。今回の資料公表は、米国の変わらぬ核使用の強い意思が再度実証されたものだ。
ブッシュ大統領は再選後初の記者会見で、「われわれには賛否のいかんを問わず、米国民を守るという重大な義務がある」と述べ、国際世論の動向にかかわらず、必要と判断した行動をとると明らかにした。つまり政権第一期と同様に、核使用も排除しない先制攻撃戦略を継続するというのだ。したがって、ブッシュ政権から「悪の枢軸」と名指しされた北朝鮮にしてみれば、こうした核戦争シナリオと訓練の実態とあわせて、米国の核先制攻撃の可能性はさらに切迫したものとならざるをえない。実際にブッシュ政権になって一層推進された地下貫通能力を備えた核爆弾開発がある。ブッシュ再選となった今、北朝鮮がこれに対抗して、米国の攻撃に対する抑止力として核開発の姿勢をさらに強めるかも知れない。これが朝鮮半島における核の悪循環だ。始まりは常に米国にある。
朝鮮半島、ひいては世界のどこであれ核兵器が開発されてはならない。しかし今回の公開資料から明らかなように、朝鮮半島および世界の非核化を実現するためには何よりも、米国の核戦争策動が中止されなければならないのである。