【あいさつ】
ソウル歓迎集会での郭東儀常任顧問のあいさつ
尊敬するみなさん。
夢にも忘れなかった故国を四十四年ぶりに訪れ、いつも尊敬してやまないみなさんにお会いでき、本当にうれしく感慨無量です。
わたしはまず、わたしたちに故国への道をあたえてくださり、またきょうは自主・統一・独立の精神が充満している白凡(金九)記念館で、このように盛大な歓迎会を開いてくださった「韓統連故国訪問団歓迎委員会」の常任共同代表である崔炳模先生をはじめとする共同代表のみなさん、そして林鍾仁執行委員長と李基旭弁護士に、わたしと韓統連の心からの感謝を申し上げます。
また、わたしたちの故国訪問に多方面の便宜をはかってくださった関係当局に深甚なる謝意を表します。
あわせて、わたしたちの故国訪問のために歓迎委員になってくださった数多くの先生方とこの場に参加してくださった大勢のみなさんに、熱いあいさつを申し上げます。
そして昨年九月に故国へくる機会がありましたが、出発当日に健康を害してくることができず、みなさんに多大なご心配をかけたことを、いまも心苦しく思っております。
みなさんが気づかってくださったおかげで、いまこうしてこの高い場所で演説できるほどにわたしの健康は回復しておりますので安心なさってください。
ここにくる前に四・一九墓地に立ち寄り、英霊に参拝して帰国報告をしました。わたしたちはその場でお亡くなりになった方々の崇高な精神を引き継ぎ、必ず自主・民主・統一をなし遂げるとの決意を再度固めました。
愛国烈士らの崇高な精神を引き継ぐことは、生き残った者らが必ず守らなければならない気高い道徳であり義理だと思います。この道徳、義理が継承されるとき、国の自主権は守られ民族は永遠に栄えるでしょう。
みなさん。
昨年は海外民主人士にとって故国訪問が実現した一生忘れることができない感動的な年でした。その時の感動を胸に抱いて、今年は韓統連だけで訪問団を組織して、このように故国を訪問しました。
そのような意味で、きょうの歓迎の集いは本国の先生方とわたしたちの相見の礼の意味あいも帯びています。
当然の礼儀として、その間わたしたちが異国で何をし、どのように暮してきたのかを報告すべきであることを知っております。
しかし、残念なことに時間の関係もありますし、断片的ではありますが活動内容は次の文化公演を通じてみなさんにお伝えすることにして、ここでは異国での民族民主運動を通じて感じた点を簡略に申し上げることにします。
わたしは異国で本国の民主化と祖国統一運動をするということ、すなわち民族の良心を守って愛国の道を歩むことが、本当に困難であることを骨身にしみるほどに感じました。
しかし、その生き方がもっとも尊い人生だと自負しながら堂々と歩んできました。また愛国は自分自身との闘いだということ、すなわち難関と試練をのり越えて初志を貫徹するときにこそ、民衆に愛される人間として生きていくことができることも学びました。鉄は溶鉱炉で生産され、愛国者は闘争のなかで生まれ育つということを、わたしは自覚しました。
きょう、わたしとともにここにきた二世、三世らは、まさに困難な闘争のなかで育った民族の宝です。
わたしは難関に出会い目の前が真っ暗になるとき、白凡・金九先生が残された次の言葉を繰り返し後輩らにも聞かせました。
「雪道を踏みながら野道をいく。この険しい道を望んでいくのではないが、きょうのわたしの足あとは、後世子孫らに道しるべを作るためなのです」
そうです。この言葉はたんに金九先生お一人の言葉ではなく、日帝治下で国を取り戻すために冷たい地面で野宿をしながら闘い倒れたすべての愛国先烈が、わたしたち子孫に伝えたかった遺訓だと考えます。
現在、韓統連と二世、三世は愛国先烈らの遺訓を胸に深く刻んで、自身をそのようにするために努力しています。
わたしはきょうまで、後輩らにただの一度もこんなことをいったことがありませんでしたが、きょうはひと言いわなければなりません。異国万里で民族性を保存して、統一のために屈することなく闘い、わが民族の愛国伝統を輝かせた韓統連、韓青、民主女性会、学生協は本当に誇らしいわが民族の宝だと。
この場に集まられたみなさん、わが二世、三世らが日本に戻り、より力強く闘えるようにはげましてください。
尊敬するみなさん。
国内外同胞の血のにじむ闘いの結果、わたしたちには民主化と統一の時代が開かれています。
とくに二〇〇〇年の歴史的な南北首脳会談と、その結果発表された六・一五共同宣言を契機に、南北関係と統一情勢に画期的な変化がおきました。
しかし一方では、戦争の暗雲が深くたれこめているのも現実です。緊張が激化している現情勢は、全同胞が固く手を取り合ってひとつになって立ちあがり、好戦勢力の戦争政策に立ち向かって憤然と闘うことを要求しています。
戦争がおこれば民族が共滅することは火を見るよりも明らかであるにもかかわらず、それに顔をそむける者は、民族の良心を持った人だということはできません。
わたしたちは本国のみなさんとともに、祖国半島の平和と民族の安全と生命を守るために全力で闘っていきます。
来年は光復六十周年、分断六十年になる年です。六月十五日に仁川で開催された民族統一大会では、七千万同胞の切実な念願を盛りこんだ「民族大団結宣言文」が発表されました。
宣言文は南と北、海外全同胞が団結し、さらに団結して意味深い来年を祖国統一元年にしようと訴えています。何と胸ときめく言葉でしょうか。この宣言が輝かしく結実するかどうかは、わが民族の意志と行動にかかっています。
わたしたちがこの「民族大団結宣言文」を誠実に実践することで、光復六十周年を統一の元年として輝かせましょう。
来年を統一元年にするために国家保安法の撤廃は必須課題だといえます。国家保安法が撤廃されるなら韓国は人権先進国に跳躍することはもちろん、民主化は一層進展され、統一と統一元年に向けた同胞の歩みは一層早まるでしょう。
わたしたち韓統連は、開かれたウリ党と民主労働党、民族民主勢力が国家保安法の完全撤廃のために展開しているすべての活動を全的に支持し、わたしたちも継続して活動していきます。
来年はまた、亡国の恥辱が始まった乙巳保護条約から満百年にあたる年でもあります。放声大哭(こく)して血涙を流しながら暮らしてきた恥辱の歴史はいまも続いています。すなわち、わたしたちはいまだに外勢の支配と干渉から脱していないからです。いまこそ全同胞が団結して恥辱の歴史に終止符をうって自主民族の姿を取り戻して光復六十周年を迎えなければなりません。
そのためにわたしたちは自主を実現させ、事大主義者が汚したわが現代史の染みを消し去り、その場に再度民族の魂が満たされるようにしなければなりません。
いま本国では親日清算と過去清算を要求する声が天を突くほどに高まっています。その声、そのかん声には愛国烈士らの血のにじむ恨(ハン)がたちこめています。
第十七代国会は愛国烈士らを裏切ってはならず、親日と過去清算のための立法措置を一日も早く実現するよう、心から願わずにいられません。
尊敬するみなさん。
わたしたちは異国に暮らしながら、外国人から「自分の暮らしをちゃんとすればそれでいいのに、どうして統一運動をするのか」との質問を受けることが多々あります。
そのたびにわたしたちは「あなたは国を奪われ、分裂の痛みを抱いて暮らすわが民族の苦痛を、あまりにも知らなさすぎる」とつっぱねます。
結局、非我はどこまでも非我にすぎず、彼らに期待するものは何もありません。むしろ彼らはわたしたちに災いだけをもたらすのです。
わが民族の運命は、わが民族みずからが主体となって開拓していくしかありません。古くから血は水より濃いといいます。そうです。わが同胞は、どこに暮らしていようともひとつの血筋をつなぐ運命共同体です。
そうです。わたしたち海外同胞にとって祖国は、自己の運命であるとともに生命です。亡国の民は喪家の番犬にも劣るという言葉があります。日帝治下で在日同胞は、まさにそのように暮らしてきました。光復後にも別段変わったことなどありませんでした。その原因は、祖国が南北に断ち切られているからだということを、わたしたちはあまりにもよく知っています。
そのために民族差別とべっ視の寒風が吹きつける日本の地に生まれ、祖国がどこにあるかも知らない二世、三世も一世の思いを受け継いで統一の道を歩むようになったのです。
わたしたちはどのような暴風が吹こうとも、自主・民主・統一の旗をしっかり握りしめて韓国民族民主運動の海外戦線としての任務を忠実に遂行していくことをみなさんの前で固く誓います。
わたしたちが六・一五共同宣言の旗を高く掲げて統一祖国の新しい歴史を開拓するために、力強く前進しましょう。
祖国統一万歳。
ありがとうございます。
二〇〇四年十月十日
郭東儀