【論説】ブローカー使う低強度戦略/6者協議の意義失わせる
北朝鮮人権法は体制崩壊シナリオ
米議会が昨年十一月から推進してきた「北朝鮮人権法案」が九月二十八日、満場一致で上院を通過した。七月二十一日に下院を通過した法案を一部修正したため、下院での再審議をしなければならないが、北朝鮮の体制崩壊をねらった基本骨子に変化はなく、ブッシュ大統領の署名をへて公式に発効することが確実になった。
法案の内容はひと言で「人権」のオブラードで包んだ北朝鮮崩壊法だ。その内容を見ると、脱北者らの米国亡命と難民申請資格を認定し、国務省に北朝鮮の人権を担当する特使を任命、域内のすべての国家が参加する北朝鮮との人権対話推進のための国際機関を設置する。また北朝鮮住民の人権増進のために活動する非政府組織(NGO)支援、脱北者に対する人道的援助を提供する団体と個人への支援、対北ラジオ放送支援(放送時間を一日十二時間に延長、北朝鮮へのラジオ送り運動など)のために二〇〇五年から四年間、毎年二千四百万ドル、計約一億ドルを政府予算から出費することにしている。
法案の目的は何か。第一に、脱北企画団体への経済支援でこれらの団体の活動を一層あおって大規模な脱北を誘導する。第二に、財政的支援とともに脱北者の亡命を法律的に保障する。第三に、北朝鮮の住民をかく乱する「自由」の放送時間を延長する。第四に、周辺国も引き入れた国際機関を作って北を包囲して圧力を加える。つまり北朝鮮内部に分裂を助長し、大規模な脱北を誘導して体制を崩壊させる米国の低強度戦略だといえる。
大量脱北での体制崩壊
この法案は昨年七月に結成された米国の民間右翼団体「北朝鮮自由連合」が大量脱北による北朝鮮政権の崩壊を目的に準備した「北朝鮮自由化法案」を母体にしている。黄長Y・元朝鮮労働党書記を招請して米議会で証言させた彼らは、議員を相手にロビー活動を展開してこの法案を成立させた。この法案の目的が人権改善ではなく体制崩壊にあるのは、法案制定に積極的な役割を果たしたハドソン研究所が「人権で北朝鮮をソ連のように崩壊させなければならない」と主張していることからもわかる。
しかし、脱北者問題は政治的亡命や人権問題とはまったく次元が異なる「ブローカーが介入した不道徳な」「企画入国」問題だというのは、すでに周知の事実だ。現在、脱北者の企画入国を主導する団体は右翼宗教団体、北朝鮮の体制転覆をねらう国内外勢力、ブローカーなど悪徳業者(与党ウリ党・任鍾ル議員の国政監査質疑資料)である。彼らは企画脱北を誘導することで脱北者に与えられる定着支援金三千七百五十万ウォンのうち、少なくとも七百から八百万ウォン、多くは一千万から一千五百万ウォンを受け取る。米国はこれら名目上の人権団体を抱きこんで、対北圧殺政策の先兵に使おうとしているのである。
法案成立と関して北朝鮮政府は、主権国家に対する正面からの挑戦で、人民の尊厳に対する耐えられない冒とくだとの論評を発表し、六者協議と南北関係に暗雲がただようことを予告した。
一方、韓国の国家人権委員会は「北朝鮮人権法案の制定目的にも吸収統一を志向するかのような言及があり、北朝鮮崩壊を追求するとの疑惑をぬぐえない」との憂慮を表明している。民主労働党は北朝鮮崩壊の戦争シナリオを稼動したものとして法案が実効性をもたないよう党力を傾けて闘うと明らかにした。ところがハンナラ党は「北朝鮮人権法は、北朝鮮の人権伸張と脱北者に対する関心、そして人道的支援方案を盛りこんでおり非常に適切で歓迎する」ともろ手をあげて歓迎した。彼らは一体どこの国の、だれのための国会議員なのか、その出自に疑問がわく。
緊張高める法案阻止を
「人権法案」の意図が対北敵対圧殺政策の一環であり、最終目標が体制崩壊であることは明白な事実だ。またこれは北朝鮮に対する冷戦干渉だけでなくわが民族に対する内政干渉である。米国はようやく形成された朝鮮半島の平和と統一の機運を遮断して、対決と緊張へと情勢を悪化させようとしている。
イラク侵略戦争を起こして多数のイラク民衆を虐殺し、捕虜に虐待と性拷問するなど全世界で反人権的行為をほしいままにする米国に、人権をうんぬんする資格はない。ましてや人権で内政干渉するのは言語道断だ。
人権を口実にした米国の対北圧殺政策は、朝米対話のみならず六・一五共同宣言後に進展している南北対話にも深刻な影響をあたえるだろう。また北東アジアの平和に厳重な難関をつくり出すのは火を見るよりも明らかだ。
ハンナラ党は人権法案の本質が何であり、わが民族の将来にどんな障害をつくりだすかを熟考しなければならない。(金明姫記者)