民族時報 第1045号(04.09.21)


【焦点】歴史わい曲 韓国などが強く批判

    東京都教委 「つくる会」教科書を採択

 東京都教育委員会は八月二十六日、「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)の歴史教科書(扶桑社発行)を来春開校する都立白鴎高校付属中学校で使用することを決定した。

 報道によると、都教委の審議は六人の委員が八社の歴史教科書を比較した資料を基に検討し、北朝鮮による拉致問題の扱いや、神話・伝承を知り、日本文化や伝統に関心を持たせる資料かどうかなどについて違いを研究した結果、五人が「つくる会」教科書を推した、という。

 「つくる会」の教科書は、太平洋戦争を「大東亜戦争」と表記して「日本の戦争目的は、自存自衛とアジアを欧米の支配から解放し、そして大東亜共栄圏を建設することであると宣言した」と記述している。また、日本がひき起こした日清戦争、日露戦争、太平洋戦争などについての解説では「侵略」という言葉をまったく使っていない。さらに「日韓併合」を「日本の安定と満州の権益を防衛するため」としている。

 中国の「環球時報」は八月三十日、東京特派員の論評で「右翼思想の持ち主である石原慎太郎知事が『つくる会』の支持者を教育長や教育委員にとりこんでいる」と指摘した。また北朝鮮の朝鮮中央通信は同日、「つくる会」の教科書採択に関連して、「日本で極右保守勢力の歴史わい曲策動がいかに危険な程度に達しているかを示している」と批判した。

 韓国の潘基文・外交通商相は一日の定例記者会見で「歴史的事実については真理はひとつだ。真実、真理が主観的解釈によって記述されることがわい曲だ」と明言し、「つくる会」の教科書採択に遺憾の意を表明した。

 同教科書については韓国、中国などが検定段階で反発し、日本政府に表現の修正などを要請した。都立養護学校で採用された〇一年には、日本全国から都教委に対して、採択反対の意見が多数寄せられた。今回も、在日韓国人や市民グループが全国から集めた約二万八千人の署名を都教委に提出するなどの反対運動が起きていた。

 一方、自民党の安倍晋三幹事長は「歴史的事実の誤りがない限り、教科書は検定合格になる」と発言して、「つくる会」の教科書を積極的に後押ししている。

 「日の丸・君が代」の強制やわい曲教科書の採択など教育分野の右傾化が、日本の軍事大国化や米国との軍事一体化と歩調を合わせており、こうして日本はアジアでの孤立を一層深め、アジアと日本の不幸な歴史を再現しようとしているとの憂慮の声は小さくない。

 学齢期の在日同胞の多くが日本の学校に通っている現状を考えるとき、事態の深刻性はいっそう増す。「つくる会」の歴史教科書の採用阻止は正念場を迎えている。


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