【資料】政治問題化する危険性
米下院の北朝鮮人権法通過の影響は
米下院は七月二十一日、「二〇〇四年北朝鮮人権法案」を満場一致で通過させたため、その影響に注目が集まっている。特に最近、米政府が北朝鮮に対する強硬姿勢を多少緩和しているため、北朝鮮の核問題解決の突破口が開かれるとの期待が高まっているなかで、下院が北朝鮮への軽水炉提供を永久に拒否する法案に続いて北朝鮮人権法案までも通過させたことは、朝米交渉にも少なからぬ影響を及ぼすものと見られる。
米国が自国の人権問題をとりあげることに強く反発してきた北朝鮮は、米国議会で検討されてきた北朝鮮自由法案と北朝鮮人権法案が、人権を口実にして北朝鮮の体制を転覆させるためのものだと主張してきた。
また「人権運動サランバン」「民主社会のための弁護士の集い」「良い友だち」など韓国の進歩的な人権団体は、北朝鮮人権法案が人権の増進効果をもたらさず、逆に北朝鮮に対する人道支援と朝鮮半島の平和に否定的な影響を及ぼす可能性があると、この法案に反対の立場を明らかにしている。
今回通過した北朝鮮人権法案は、@北朝鮮内での基本的な人権の保護と尊重A脱北者の困難に対するより持続的で人道主義的な解決策の促進B北朝鮮への人道的支援の透明性・接近性・監視性の向上C北朝鮮内外での自由な情報伝達の促進D民主的な政府体制のもとでの朝鮮半島の平和的統一の進展――などを目的にするとしている。
しかし、法案の内容を見ると、住民にとって切実な人道支援の条件は非常に厳しく、政治問題をひき起こす内容が数多く含まれているため、実質的な人権の改善効果をもたらすかどうかは疑問だ。
また法案では、自由アジア放送(RFA)や米国の声(VOA)などの放送局が一日に十二時間も北朝鮮向けの放送をして、住民が外部の情報に接することができるようにするとしている。特にこれらの放送は北朝鮮を否定する報道で一貫しているため、北朝鮮側がこれに強く反発するのはたやすく予想できる。
さらに法案は「米国大統領が二〇〇五年から二〇〇八年まで、毎年二千万ドルを北朝鮮住民支援のために使用できる」と規定しているが、その条件は大変厳しく、分配の透明性を監視することが確保できた場合、追加の人道支援が可能だとされている。
米国の対北食料支援は二〇〇〇年には約五十万トンだったが、ブッシュ政権の発足後には持続的に減少し、現在は約十万トンのレベルにとどまっている。一方、国連の世界食糧計画(WFP)など北朝鮮支援団体は、満足するレベルではないが、食糧分配の透明性が少しずつ改善されているとして、追加支援を呼びかけている。
朝米交渉に否定的な影響を与える
また米政府は、人道支援ではなく一般的な支援を推進する場合、北朝鮮が宗教の自由をはじめ基本的な人権を尊重し、北朝鮮の住民と米国内の親せきとの再会を許可し、拉致された日本人と韓国人に対するすべての情報を明らかにして、彼らが家族とともに国に帰るように図り、刑務所と強制労働収容所を改善し、これらに対する国際監視を許容する方向で相当な進展があったとの報告書を議会に提出するよう求めている。
これによって、朝鮮半島の核問題の平和的解決に必要なエネルギーなど、北朝鮮に対する経済支援が困難になる点から、六者協議に少なからぬ影響をあたえるだろう。北朝鮮は、核の凍結と廃棄にあたっては、米国がこれを補償する措置を取るべきだとの立場で一貫しているからだ。
再浮上した北朝鮮の人権問題
北朝鮮人権法案が下院を通過しため、同法案は上院に送られて審議に入る。満場一致で下院を通過したため、上院も通過する可能性が高い。
しかし、上院は八月の一か月間は休会に入り、八月末の共和党全党大会後には、米国の関心はすべて大統領選挙に集中するため、年内に法案が通過する余裕がないともいえる。
上院では北朝鮮人権法案とは別に、北朝鮮政権の崩壊を促す目的を持つ北朝鮮自由法案が提出されているが、まだ審議が行われてない。上院がこの二つの法案を統合して処理するか、それともそれぞれ審議して処理するかにも関心が集まっている。
いずれにせよ、昨年と今年の国連人権委員会で北朝鮮人権決議案が採択されたことに続いて、米下院でも北朝鮮人権法案が通過したことで、「北朝鮮の人権問題」が再び注目を集めている。(チョン・ウクシク記者、 オーマイニュース 七月二十二日、要旨)