民族時報 第1013号(03.08.01)


【論説】

    恐るべき作戦計画「5030」の全貌

 挑発行動を通し武力侵攻へ 対北圧殺包囲の軍事的手法

 北の核問題をめぐる動きに変化が見えてきたようだ。四月に北京で開かれた朝米中三か国会談に続き、八月中にも再び三か国会談が開かれ、続いて韓日にロシアが加わった多者間会談が開かれると報じられている。もちろん多者間会談とはいうものの、主役は朝米であり、対北敵視政策の放棄、朝米不可侵条約の問題、朝米を含む北東アジアの安定と平和の問題まで含めた包括的解決が話し合われるという。

 しかし、その一方でブッシュ政権によるさまざまな対北圧殺包囲網づくりや軍事的侵攻作戦計画などが報道されている。

 その一つが「OP(作戦計画)―5030」である。米誌『USニュース・アンド・ワールド・リポート』(七月二十一日付)によると、ラムズフェルド米国防長官の指示に基づき、ファーゴ米太平洋軍司令官や米国防総省が対北圧殺、崩壊、侵攻作戦計画の草案をまとめた。その手段たるや、外交常識や国際法規をも無視した極めて挑発的で陰険、悪らつである。例えば次のような内容である。

 @北に近接した陸空海からの奇襲的武力示威や演習を繰り返すことによって北の迎撃を誘い、不安と動揺、資源の消耗、軍事力の弱体化を図る。

 A虚偽の情報やデマ、スパイ活動などで北の内部分裂を図り、反乱を誘発させ、政権転覆を図る。

 Bそれでも反乱や崩壊がない場合は、ブッシュ大統領の承認がなくても、地域司令官(米太平洋軍司令官)の判断によって多様な低強度作戦(局部戦争)が可能になる。

 この「OP―5030」については、その内容があまりにも挑発的で危険を伴うため米国内でも批判の声が出ており、まだ正式な計画として策定されていないという。この計画は、ブッシュ政権が同盟国や追従国と進めている経済・外交的な対北包囲網づくり(北への送金停止や船舶検査の強化、海上臨検)の軍事版ともいうべき手法であり、九四年の核危機の際にクリントン政権が発動しようとして断念した「OP―5027」に手を加えたものだ。

 対北侵攻作戦計画「OP―5027」は九四年初めに、韓国政府との協議もなしに策定、実行に移す手はずであった。@「北に兆候あり」と判断すれば、米本土、太平洋各地の四軍兵力を朝鮮半島軍事境界線一帯に集結させA対北先制攻撃をかけて軍事境界線を突破B仁川、元山など東西両海岸からの上陸作戦によって戦力を増強して北進Cピョンヤンなど主要都市を占領して制圧D米軍による一定期間の軍政期間を経て、南主導の南北統合を実現するというシナリオであった。

 だが米国防総省が、この「OP―5027」の発動についてシュミレ―ションを繰り返したところ、朝鮮半島は全面戦争となり、死者は百万人、米軍側にも八万―十万人の死者が出るとの恐るべき結果が出た。そこでクリントン米大統領は「力の対決」―対北侵攻作戦を断念して対話方針へと転換、危機は回避された。クリントン大統領の特使として訪朝中のカーター元大統領が金日成主席と会談して合意をみたのは、米軍の対北侵攻作戦開始一時間前であった(九四年六月十六日)。

 今回の「OP―5030」の内容を検討してみると、ブッシュ政権のイラク侵攻との共通点を見い出すことができる。ブッシュ政権は北とともにイラク、イランを「悪の枢軸」と名指しして圧迫を強めた。九・一一後はテロリスト根絶を表面上の理由とし、国連査察団の検査が続いているのに、国連の新たな決議もないままに、イラクが大量破壊兵器を隠しており、兵器用ウランの入手を試図したとの偽の情報を仕組んで、英軍とともに宣戦布告もなく、突如として侵攻作戦を開始して短期間で制圧・占領し、米軍による統治を行っている。まぎれもない侵略行為であり、国際法違反であり、住民虐殺にほかならないとして、ブッシュ、ブレア両政権は内外の批判にさらされている。

 この七月は朝鮮戦争停戦協定五十周年にあたる。この戦争で南北合わせて三百余万人が犠牲となり、一千余万人の離散家族を生んだ。米軍は、老斤里など南北で百万人ともいわれる民間人を虐殺。米軍も三万六千人が死亡した。停戦協定とはいっても、文字どおりの「撃ち方やめ」に過ぎない。米国側は、北側からの度重なる平和協定提案を拒否し、今なお三万七千人の駐韓米軍が軍事境界線を挟んで北と対峙(じ)している現状だ。

 九四年当時の米国防長官であったペリー氏は「朝鮮半島での戦争の危機」について警告し、ブッシュ政権に対して早急に対話のテーブルにつくよう求めている。

 朝鮮半島で再び戦争を許してはならない。南北を含めた七千万民族の命運がかかっているからであり、隣接する日本や中国、ロシアにも重大な影響が及ぶのは必至である。ブッシュ政権は対北侵攻計画を即刻中止すべきである。問題の解決は対話による一括妥結の道しかない。(金恩澤)


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