【論説】世宗市問題―親李、親朴派の争い激化
ハンナラ党内で全面対決/保守勢力に危機意識が拡散
世宗市の問題をめぐって、ハンナラ党内の親李明博系(親李系)と親朴槿恵系(親朴系)の派閥間の葛藤が深刻だ。
世宗市、何が問題か
二〇〇二年当時、大統領候補の盧武鉉氏が、行政首都を忠清圏に移転するという公約を掲げて当選、その後、与野が合意して法律を制定し、行政首都の世宗市移転が推進された。首都圏に集中した既得権と人口過多を分散させようという意図からだった。その後、二〇〇七年の大統領選挙で李明博候補は、前政府が立案した世宗市の原案を推進すると明らかにした。しかし、大統領に当選後、彼は公約を破棄して原案を白紙化、修正を主張した。理由は、行政首都を移転すれば、行政の効率性が落ちるというものだった。李明博大統領の原案修正主張をめぐり、これを支持する親李系と原案固守を主張する親朴系が全面的に対立するようになった。
親李系の主張は、国家の均衡発展および首都圏の過密解消、政府部署の移転にともなう非効率性の防止などのためには、原案修正が唯一の解決法だというのだ。親朴系は、李明博大統領とハンナラ党が大統領選挙と総選挙で世宗市建設を公約に掲げたため、修正案を撤回し、原案通りに推進しろというものだ。しかし、表面的な理由とは違い、その裏には次期大統領選挙に向けたハンナラ党候補選出と関連した政治的な利害得失の計算が複雑にからまっている。朴槿恵議員は、当時ハンナラ党の代表として世宗市関連法案に与党と合意して処理したため、忠清圏の票が優勢だ。
親李系の修正案の突破意図は、盧武鉉政権の政策の名残を根絶して、朴槿恵勢力を切り捨てるための政治的意図があるといえる。
親李・親朴系の争いは、この間、水面下で対じしていた李明博対朴槿恵の争いとして表面化している。李明博「ちゃんとした家庭は、強盗が来れば、けんかをしていてもやめて強盗を追い出す」、朴槿恵「家庭のある人が、心変わりして急に強盗になったら、どうするのか」といった具合だ。李大統領は十二日、「党が中心になって結論を出せ」と指示し、修正案を強力に推進する意向を明らかにした。
また、国家情報院と文化体育観光部、行政都市建設庁など、政府機関を動員して修正案を広報する印刷物を無差別に配布するなど、権力乱用は国民の非難の対象になっている。一方、親李系は、首都分割は国家の安全に直結するので、世宗市修正問題を国民投票にかけようという主張もしている。背景には、世宗市修正問題が、六月の地方選挙でマイナス材料となりうるということと、修正案関連法が国会の表決手続きを通過するのが難しいという判断からだ。しかし、国民投票は違憲素地があるだけでなく、再信任投票の性格を帯びるため、選挙で負ける場合、李政権がレイムダックに陥る危険性も含んでいる。
世宗市責任は李明博三八・三%
ハンナラ党は議員総会を開き、世宗市論議に着手した。親李側は三月初まで論議を継続して修正案が国会に上程されれば、世宗市原案から修正案への党論変更のための賛否投票の手続きに着手する方針だ。だが、親朴系は、親李系が賛否投票に打って出る場合、議員総会に参加せず、常任委員会と本会議で世宗市修正案の否決のための行動に出て正面対決する姿勢だ。
リアルメーターが二月四日、実施した国民世論調査で原案推進支持三七・二%、修正案支持三四・七%とあらわれた。東亜日報がコリアリサーチセンターに依頼した世論調査で、世宗市問題が解決しない最も大きな責任は李明博三八・三%、朴僅恵一〇・二%だ。
一方、民主党、民主労働党、進歩新党、自由先進党、創造韓国党の野党五党と無所属の議員計百十三人は二月十六日、「世宗市修正案の疑惑究明のための国政調査」要求書を国会に提出した。行政中心複合都市の白紙化推進の過程であらわれた各種疑惑を明らかにするためである。国政調査対象は@国務総理任命を青瓦台が政略的に活用したという疑惑Aサムソンなど大企業の世宗市への投資誘致が修正案発表以前にすでに決定されたという論議B世宗市修正案の広報過程で提起された国情院など情報機関の動員、金品ばらまき疑惑などだ。
李明博政権への支持率は四〇%台を維持しているが、三か月後に実施される六・二地方選挙、二〇一二年大統領選挙を前にした時点で、ハンナラ党の内紛は保守右派勢力を不安にしている。また進歩勢力に政権を奪われるかもしれないという危機感からだ。朝中東など右派言論が修正案放棄を促し出した。朝鮮日報は「百年の大計よりは二〇一二年の政権再創出に譲歩することが順序だ」と主張、党が分裂すれば、政権再創出もおぼつかなくなると警告している(金大中コラム、一月十八日)。中央日報(中央時評、一月十二日)は九五年の民自党分裂―金泳三大統領が金鍾泌追放―地方選挙で民自党が惨敗したことで、保守大連合勢力が沼に陥り、結局、金大中・金鍾泌連合と政権交替、十年間の民主党政権が続いたということを想起させ、李明博大統領が修正案を放棄することを要求している。再び、進歩陣営に政権を奪われてはならないという危機意識が作用しているということだ。
政治的な利益を目的に内紛に没頭している保守勢力の分裂を、民主改革陣営が勝利する契機にしなければならないときだ。まず、六・二地方選挙で李明博政権を審判しなければならないだろう。
(金明姫記者)
【焦点】北朝鮮、平和協定締結を提案
情勢転換へ理にかなう
昨年十二月に行われたオバマ政権下で初の朝米公式協議の場で、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)側は、朝鮮戦争の停戦協定を平和協定に替える問題を提起した。米側はこれに対して、六者協議の枠内での協議は可能と応じ、協議への早期復帰の呼びかけたと報道された。
こうした経過をふまえて、北朝鮮外務省は一月十一日、「朝鮮戦争勃発六十年になる今年、停戦協定を平和協定に替えるための会談を速やかに始めることを停戦協定の各当事国に提案」する声明を発表した。声明は、会談の形式について、「九・一九共同声明に明記されている通り、別途に行われることもでき、現在進行中の朝米会談のように朝鮮半島非核化のための六者協議の枠内で行うこともできる」とした。また、「制裁という差別と不信の障壁が除去されれば、六者協議そのものも直ちに開かれるだろう」と明らかにした。
これは北朝鮮がこう着状態にある朝鮮半島の非核化と、南北関係および朝米、朝日関係の改善と正常化のために、新たなアプローチをしたものと評価されている。
実際、朝鮮戦争はいまだに終結しておらず、停戦状態が半世紀を超えている。停戦状態とは一時的な発砲停止状態に過ぎず、法的には戦争状態である。戦争状態をそのままにして、信頼に基づく交渉と合意の履行は不可能だ。それは、一九九〇年代初めからの朝鮮半島の核問題をめぐる朝米交渉の妥結と破たん、戦争の危機の反復の歴史を見れば明らかだ。
したがって、北朝鮮が「朝鮮戦争を終戦させ、停戦協定を平和協定に替えることができれば、この地域に平和と安定をもたらし、各国間の敵対的な関係を清算して友好関係を樹立し、南北の統一を促進することになる」と主張するのは、理にかなっているといえる。
しかし、これに対して韓国と日本は拒否の姿勢を示した。二月十六日の韓日外相会談で両外相は、「まず六者協議の再開が必要で、制裁解除は認められない」との認識で一致したと明らかにした。
〇七年の南北首脳会談で合意し発表された十・四宣言は、第四項目で「南と北は、現在の休戦体制を終息させ、恒久的な平和体制を構築していくべきだということに認識をともにし、これに直接関連した三者または四者首脳が朝鮮半島地域で対面し、終戦を宣言する問題を推進するために協力していくことにした」としている。
日本政府はともかく、李明博政権は、この民族の合意を固守し、履行する立場に立つべきだ。そうすれば、朝鮮半島情勢は大きく転換することはまちがいない。 |